浮腫(むくみ)は病気のサイン?むくんでしまう理由とその予防法

浮腫(むくみ)は病気のサイン?むくんでしまう理由とその予防法

夕方になると足が重くなる・だるくなる、また、お酒を飲んだ次の日は顔がむくんだりしませんか?そんなむくみを効果的にケアするには、どうしてむくみが起こるのかを知り、対策を取るようにしましょう!

そもそもむくみとは?むくみの原因は?

朝起きたら顔がむくんで腫れている、夕方になると足がゾウのようになってしまう…むくみとは誰しもがなる可能性があるものですが、特に体調がすぐれない時や天候が悪いと起こりやすいようです。

むくんでいるからといって、生活に支障をきたすことはあまりありません。ただ、むくむと体はだるく重くなることがほとんど。足もズーンと重たくなります。ヒールを履いている人によく起きる症状かもしれません。

むくみとは、かなり多くの方が悩まされている症状ではありますが、その原因ってみなさんご存知でしょうか?実はよく知らない!という人も多いようです。

むくみは体の水分と大きく関わっています。人の体は、約60%が水分でできているのですが、その体内の水分の3分の2は、「細胞内液」という細胞の中に含まれる水分で、残りは「細胞外液」という、血液に含まれる水分や、細胞と細胞の間を満たしている水分です。

これらの水分は、細胞に栄養を送ったり、老廃物を除去する役割を担っていて、細胞や血管の中を行き来して体内の水分のバランスを保っているのも特徴のひとつです。

しかし、このバランスが崩れて、細胞と細胞の間に水がたまり、異常に増加してしまったものが「むくみ」です!※医学用語でいうと「浮腫(ふしゅ)」といいます。

この「むくみ」を引き起こす原因として挙げられるのが、下記になります!

①血流の低下

デスクワークの人が、夕方になると脚がパンパンになるのは、下肢の筋肉を動かさなかったために、足の血流が低下してしまうことが原因です。
体のなかでも、心臓から遠くにある足はどうしても浮腫みやすくなってしまいます。特にふくらはぎの筋肉がポンプの役割を果たして血液とともに水を全身に巡らせてくれているのですが、ずっと足を動かさずにいると、重力の影響で水分が下半身にたまってしまうのです。

②塩分の取り過ぎ

厚生労働省が推奨する1日当たりの食塩摂取目標量の目安は、男性が8g未満、女性で7g未満です。
しかし、厚生労働省発行の“国民栄養調査”によると、平成29年の食塩摂取量の平均値は9.9g(男女別に見ると、男性が10.8g、女性が9.1g)。男性も女性も塩分摂取量が多いのが実情です。
体には、体内の塩分濃度を一定に保つという機能があるので、塩分をたくさん摂取すると、体の塩分濃度を薄めようと、体内に水分を溜め込むようになります。これが、塩分を多く摂るとむくんでしまう仕組みです。
さらに、ハム、ウインナーなど塩分を使用した加工食品を多く摂取したり、外食やコンビニ食が続くと、塩分の強い食事ばかりになってしまいます。そうなると、味覚が慣れてしまい塩味を感じにくくなる可能性もあり、さらに塩分を摂取してしまう濃い味付けを好むようになる…という悪循環が生まれます。こうなると、体は常にむくんでいる状態になりかねません。

ちなみに、一概に「塩」と言っても、塩の種類も血圧に関係があります。海水から作られる自然な製法の塩であれば、体から塩分を排泄する作用のあるカリウムや、血管を緩めて血圧を低下させる作用のあるマグネシウムなども含むため、ナトリウムの働きを和らげてくれます。しかし、多くの塩は、精製塩と言って、塩化ナトリウムのみを抽出したもので、血圧が上がりやすくなります。

塩分を摂取するときは、塩の種類にも気をつけることで浮腫を軽減することはできるかもしれません。

③お酒

「一番顔がむくんでいると感じる時はいつですか?」と聞かれたら、「お酒を飲んだ翌朝!」と答える人が多いかと思います。
この現象が起こる原因は、血中のアルコール濃度が高くなると血管が拡張して、血管から水分が漏れ出すためです。

また、お酒を飲む時は味の濃い食事を一緒に摂ることが多く、塩分摂取が自ずと多くなります。さらに、飲酒による利尿作用に加えて、アルコールの分解には水が必要ですので、飲酒後には水分を欲します。このため、排泄を上回る水分を摂取すると、さらなるむくみを増長することになってしまいます。お酒は0にすることは難しいかもしれませんが、むくみを避けたい人は飲み過ぎには注意しましょう!

④女性ホルモンの影響、その他いろいろ

女性の場合は、月経周期によるホルモンの関係で、排卵後に分泌が増えるプロゲステロンという女性ホルモンの影響で、月経前の時期には体に水分をため込みやすくなり、むくみやすくなるということもあります。これは自分ではどうしようもないことではありますので、お風呂に入る時は湯船にしっかりつかって、ふくらはぎをマッサージしたりして、無理のない範囲で過ごすようにしましょう。
そのほかにも、運動不足や睡眠不足、ストレスなど、むくみは様々な理由で起こってしまいます。ただし、ほとんどの人が原因が改善されれば治ることが多いので、むくみにさほど心配はいりません。

むくみが表す病気の症状は?

むくんでいてもそこまで心配する必要はありません!とお伝えしましたが、病気のサインとして体にあらわれる場合もあります。まず、むくみがひどい時に疑われるのが「腎臓」や「心臓」「肝臓」の病気です。特徴としては、押すと指の跡がつくレベル。そして部分的な「足」「顔」のみ、ではなく全身がむくんでいる時は要注意です!

腎機能障害:腎臓病、腎不全

腎臓は体のデトックス機能を担っており、血液をろ過して老廃物を尿として体外に排出します。腎機能が低下すると、体外に老廃物を含んだ水分を排出できなくなるため、むくみが起こります。

心不全

心臓が血液をうまくめぐらせることができなくなる病気です。体全体の血流が滞りむくみになります。

肝硬変

肝臓全体が硬くなるため、肝臓でアルブミン等のタンパク質が合成できなくなります。アルブミンは、水分を血管内に保持する働きがあるため、血液中のアルブミンが低下すると、水分が血管から間質に漏れ出し、全身のむくみが起こります。

その他

・栄養失調

栄養素の摂取量が不足してタンパク質が不足すると、血液中にアルブミンが不足し、全身のむくみの原因になる)

・下肢静脈瘤

女性に多い病気で、ふくらはぎの部分の血管が膨らみ、足がむくむ。ひどい場合には表面にボコボコと静脈が浮き出てきます。病名の通り、下半身の静脈の血管がコブのように膨らみます。

・リンパ浮腫

手術でリンパ節を取り除いたりしたことで、リンパの流れが滞り、その部分に水分が流れずにむくむ

むくみの解消法

冷水と温水で交互に顔を洗う

朝、起きて顔がむくんでいると感じたら、冷水と温水で交互に洗顔をしてください。冷水と温水で交互に顔を洗い、血管の収縮と拡張を繰り返すことで、むくみを解消することができます。

ホットタオル

ハンドタオルを水で濡らして絞り、電子レンジで30秒〜1分ほど温めてください(ワット数が高いものは1分でかなり高温になってしまうので注意!)。作ったホットタオルを顔に乗せて温めることで、顔の血行を促すことができ、結果むくみを解消することにつながります。

マッサージ

すべりのよいクリームやオイルを顔全体と首、手につけてマッサージ。顔の中心から外に向かって、手のひらでやさしく顔をさすりましょう。
次に、耳から鎖骨にむかって首のサイドをさするようにリンパを流すイメージで。その後、鎖骨の上にあるくぼみを、ゆっくりと押し、肩に向けて流してあげてください。首回りはリンパ節がたくさんあるので、強く押さずに撫でる程度でOKです。
いつものスキンケアのついでにリンパを流す作業をぜひ取り入れてみてください。

ストレッチ・エクササイズをする

むくみは体液が停滞することで起こります。その停滞をいち早く解消できるのがストレッチです!特に、むくみやすい足は、膝の曲げ伸ばし、足首をまわすなどして凝り固まった筋肉や関節をほぐしてあげるように動かすのがポイントです。また、つま先立ちになってかかとを上げ下げするエクササイズは、ふくらはぎの筋肉を伸ばしてくれるので、ポンプ作用が働き、むくみを解消してくれます。

マッサージする

むくんでしまった部分は、手でマッサージをしてあげましょう。そうすることで血液やリンパの流れがよくなって、むくみがなくなります。ここで注意するのが、マッサージをする向きです。心臓より遠い部分から近い部分に向けて流すことが重要です!足のむくみを取る場合は、足先から膝(膝裏)、そして腿(もも)に向かって流してあげましょう。足首やひざの裏、膝の上、足の付け根など、関節まわりもむくみやすいので、この部分はほぐすようにしっかりマッサージしてあげるといいですよ!

足をあげる

むくみがちな足。マッサージするのも大変!という人はお手軽にこれを試してみてください。『足を心臓より高い部分にあげる』です!重力の影響でどうしても足はむくみやすくなりがちなので、オットマンなどを利用して足を水平になるべく保ってあげたり、床に寝て足を壁やベッドなどに立てかける方法もアリです。

お風呂であったかいお湯に浸かる

お湯をためてゆっくり湯船に浸かることでもむくみは取れます。 しっかり体を温めることで、血流が促進され、さらにお湯の水圧で適度に体に圧がかかり、滞った水分を流してくれます。できれば毎日湯船に浸かることをお勧めしますが、仕事が忙しくてそんな暇もない…というあなた!そういう時は、シャワーの時に足元だけお湯をためてプチ足湯をしてあげてくださいね。足を温めるだけでも効果はあります!

食事にカリウムを取り入れる

マッサージ、ストレッチ、温かいお湯に浸かる…それ以外には食事でむくみ対策をすることもできます!それはカリウムを摂取すること。体の中では、「ナトリウム(塩分)」と、カリウムがバランスを取り合って、血圧や水分を調節しているのですが、ナトリウムが多くなると水分を溜め込みやすくなる=むくみやすくなってしまいます。

そんな時にナトリウムを尿として体外に排出する働きを持つカリウムをとることで、むくみ解消につながります。カリウムが含まれる主な食材は、バナナやリンゴ、メロンなど。そのほか、野菜や果物に多く含まれるので、積極的に摂ってみてください!
ただし、腎機能が低下している場合には、カリウムを含む食材は控えなければならないので、お医者さんに相談の上、どの程度のカリウムなら摂取して問題がないか確認してくださいね。

むくみの予防法

むくみの解消法をお伝えしましたが、根本的に浮腫まない体作りをすることも大切です。日頃から予防法を取り入れてみてください!

体を動かす

体の血行を良くしておくことがむくみ対策の第一歩です。定期的に運動することを心がけましょう。「運動」と言っても何をしたらいいのかわからない!という人は、例えば普段エレベーター・エスカレータを使う時になるべく階段を使ってみることや、気持ち早足で歩くなどするだけでも効果的です。特に足を動かすことを意識してみましょう!

また、運動をして筋力をつけることで、血行促進・基礎代謝UP・体温UPにもつながります。冷えにくい体作りをすることが、むくみにくい体作りにもつながります。

塩分を控える

体というのは不思議なもので、常に体内の塩分濃度を一定にしようとする働きがあります。ですので、塩分が多い食事をすると、体は水分を溜め込んで塩分濃度を下げようとします。それが、むくみにつながります。コンビニ食や外食ばかりだと、どうしても塩分が多くなってしまいがちです。また、自炊の場合でも、加工食品(ハムなど)には精製された塩分が多めに含まれていますので、塩分がどのくらい入っているのか?をしっかり確認してから使用するようにしてください。

塩分の排出を助ける栄養素を積極的に摂取する

塩分を摂りすぎないようにすることはお伝えした通りですが、それもなかなか難しいものです。そういったときには、塩分の排出を助ける食材を摂取することも大事です。
利尿作用・塩分排泄を助けるカリウムを多く含む野菜、例えばすいかやきゅうり。また、あずき、バナナや柿などの果物や、血管を緩めるマグネシウムも含む海藻類なども取り入れることで、むくみ対策につながります。

アルコールを控える

アルコールを飲むと、体の血管が広がって一時的には血行がよくなるのですが、喉が乾くので、結局水分を多く飲んでしまいます。
また、アルコールのつまみは基本的に塩分が高めなので、先ほどお伝えした通り気づかないうちに塩分を多く食べてしまっていることが多いです。アルコールを飲むだけでなく、アルコールを飲む環境(食事)も、むくみをまねきやすくなります。
お酒の席は楽しいものですが、翌日のむくみを避けるためにも飲みすぎ、塩辛いものの食べ過ぎには注意してください。

着圧ストッキングや靴下を着用する

運動したいけど機会がない…面倒くさい…という人におすすめなのが、着圧ストッキングや着圧靴下。ふくらはぎや足首を圧迫することで、足にたまりがちな血管やリンパ管を刺激して、血液やリンパ液をもどしやすくして、むくみを予防します。発売されている商品によりますが、気持ちいい締め付けがある物を選ぶようにしてくださいね!(たまに着圧を謳っていても、全く締め付け感が無い物もあるので…!)

体を常に温める

体が冷えると、血行が悪くなり、おのずとむくみやすくなります。特に、足はむくみやすいので足首からふくらはぎを冷やさないこと。夏は特に、女性のみなさんは足を出す洋服を着ますが、冷房に一日中当たっている環境だと、気がついたら足が冷え冷えに…なんてことも。

足を出すファッションの時は、レッグウォーマーを持参したり、薄手のストールを常備して、なるべく体は冷やさないように意識してくださいね。また、足が冷えたと感じた日はしっかりお風呂に浸かって体を温めてあげてください!そんな時間も取れない!という時は、せめて足湯をして体の冷えを取ってから就寝することを心がけましょう。

まとめ

いかがでしたか?むくみは誰しもがなる可能性がありますが、ずーっとむくんだままだと体もしんどくなる時があると思います。

日頃からむくみ対策を心がけ、なるべく浮腫まない体を目指しましょう!また、「いつものむくみとちょっと違うかも!?」「日に日にひどくなっているかも!?」と感じたら、むくみが大きな病気のサインの場合もあるので、「いつものことだから…」と放置せず受診するようにしてください!

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