朝、目が覚めると歯がなんとなく痛かったり、顎がつかれているような感じがありませんか?朝口の中や顎に違和感がある場合、寝ている時に歯ぎしりをしている可能性があります。現代は10人に1人が睡眠中の歯ぎしりに悩まされていると言われています。歯ぎしりは「睡眠関連運動異常症」という睡眠障害の一種。加齢などの原因で中高年に多いとされていますが、近年はストレスなどが引き金となって若者でも目立ちます。痛みや怠さの自覚がなくても、エラが張っている人は知らず知らずのうちに歯ぎしりをしている場合もあります。歯ぎしりは具体的な治療方法が無い上に、酷い痛みに繋がる事がなく、なんとなく放置している人も多いですが、実は放置は厳禁。今回は歯ぎしりの原因と、解決方法を伝授します。
そもそも歯ぎしりってどんなもの?
歯ぎしりというと漠然とギリギリと歯を擦り合せているイメージが強いですよね。歯ぎしりは3つの種類に分かれていると知っていましたか?また、寝ている時に歯ぎしりするイメージが強いですが、昼間も無自覚にしている場合も。どれも歯ぎしりに該当します。
グラインディング
上下の歯で強く噛みしめ、ギシギシと擦り合わせる、所謂歯ぎしりで一番イメージしやすいタイプです。寝ている時に起こる事が多く、パートナーや家族からギリギリ音がしていたよと指摘されて本人が気がつくというパターンが多いです。グラインディングはとても強い力で歯が擦れるので、歯が欠けたり、知覚過敏や歯周病などの原因にもつながります。
クレンチング
上下の歯で強く噛みしめるタイプで、一般的には「噛みしめ」や「食いしばり」と呼ばれます。朝起きると顎がだるい、歯が浮いているような感じがするという場合はクレンチングの可能性があります。また、クレンチングは寝ている時だけではなく、起きている時も無意識にやっている事があります。また、力強く噛み締めていなくとも、上下の歯が接触しているとクレンチングに該当します。通常は上下の歯は接触しておらず離れているものです。食いしばりをしていなくても、昼間上下の歯が接触している事に気がついたら食いしばりを自覚しましょう。グラインディングと違い音がしないので、自分自身も家族も気付きづらいです。クレンチングの場合は歯や歯周だけではなく、顎の関節に大きな負担を与えやすいです。
タッピング
タッピングとは、上下の歯をカチカチと接触させるタイプの歯ぎしりです。歯ぎしりの中ではこのタイプの人は少ないです。グラインディングやクレンチングに比べると、歯や顎に加わるダメージは少なくなります。
歯ぎしりの原因
10人に1人が歯ぎしりをしていると言われている一方、歯ぎしりがどのようなメカニズムで発生するのか、実は正確な事はわかっていません。それでもいつくか考えられる原因があります。
ストレス
歯ぎしりの原因としてもっとも多いといわれているのがストレスです。私たちは、寝ているとき無意識に歯を食いしばることで、不安や憂うつな気持ちを解消していると考えられています。よって、ストレス解消のために行われている行為ではあるのですが、歯の摩耗等多くの負担をかけているので、改善する必要があります。
噛み合わせが悪い
上下の歯の噛み合わせが悪いと、歯ぎしりが起こりやすいと言われています。例えば1本だけ歯が高くなっていて、他の歯と強く接触している場合には、歯ぎしりしやすくなると言われています。また、歯の詰め物の高さが合っておらず、歯ぎしりする方もいます。
飲酒・喫煙
喫煙や飲酒、カフェイン摂取量が多い人は歯ぎしりする可能性が高いと言われています。因果関係はわかっていませんが、歯ぎしりを悪化させるリスクがあるとも言われています。
その他にも、TCHなどが原因として挙げられています。TCHとは歯列接触癖とも言われており、上下の歯を接触させるクセを指します。本来私たちは会話や食事の時だけ歯が接触するので、一日20分程度の接触が正常範囲です。しかし、それ以上接触している人はTCHが疑われます。微弱な力でも接触時間が長時間になれば筋肉は疲労してくる上に、顎関節や歯の病気の悪化に繋がります。若いうちは自覚症状が少ないのですが、加齢と共に自覚症状が現れてくるので、若いうちに対策を取る必要があります。
歯ぎしりによる悪影響
歯ぎしりは対策をしないと、長期的に続く中で歯に大きな悪影響を与えます。一番大きなところでは歯の摩耗です。歯ぎしりは通常の食事による噛み締めよりもかなり大きな負担を歯にかけています。必要以上の力で擦れるので、歯のデコボコが欠けたり摩耗します。咀嚼機能が低下するだけではなく、虫歯になりやすくなるなど、歯が弱くなります。また、歯の表面だけではなく、歯が揺さぶられる事により顎の骨に負担をかけ、じょじょに溶かしていきます。歯間の茎の隙間が広がることで細菌が入りやすくなり、歯周病に繋がります。加えて、歯の摩耗や歯茎の後退による知覚過敏にも繋がります。
顎関節症は歯ぎしりが原因のことも
歯ぎしりの二次障害として細菌増えているのが顎関節症です。この病気は口を開けようとすると顎の関節がかくかくして痛んだり、口が開けにくくなります。悪化すると少し口を開けるだけでも痛みが出て、食事ができなくなる場合もあります。顎関節症の予備軍は多いのですが、ほとんどの人は自覚していません。自分が予備軍かわからない人は、人さし指、中指、薬指をそろえ、縦にして口に入れてみてください。入らない場合や、入れようとすると顎に痛みが走る場合は、予備軍の可能性があります。
歯ぎしりがエラの張った四角い顔を作る
歯ぎしりは健康面だけではなく、外見にも悪影響を及ぼします。いわゆる「エラ張り顔」「ホームベース顔」などといわれる、顎が大きく見える顔で悩んでいる人がいますが、そもそもエラ張り顔の原因は骨格のせいではなく、咬筋が発達している事が原因の場合がほとんど。咬筋とは頬骨からフェイスラインに存在している筋肉のことで、食事や会話、あくびなど顎を動かすときに使う筋肉です。日常生活を送る中で咬筋が過剰に発達することはありませんが、歯ぎしりをする習慣があると、咬筋が発達し過ぎて、エラ張り顔になってしまうのです。エラ張りを気にしてボトックス注射などを打つ人もいますが、なるべくならお金をかけずに改善したいですよね。歯ぎしりが改善されると自然に咬筋の負担も減り、顔がスッキリしてきます。
歯ぎしりの治療方法ってあるの?
歯ぎしりを素早く治療したいと思うのであれば、歯科で相談するのがベストです。ここでは、歯ぎしりの治療方法をいくつか紹介します。
最も一般的なスプリント療法
歯ぎしり改善の一番ポピュラーな方法です。ナイトガードやマウスピースと呼ばれるものを用いた治療になります。ドラッグストアなどでも自分で作れるタイプのマウスピースが売っていますが、口にフィットしないマウスピースを使用すると効果が出なかったり、逆に歯ぎしりが悪化する原因になるので、なるべく歯医者で作ってもらいましょう。健康保険が適用されるので、比較的安価に作れますよ。マウスピースを装着することで、筋肉の緊張が緩和されリラックス効果が期待できます。マウスピースは基本的に夜つけるものなので、日常生活への支障がでる心配も少ないです。
歯の治療や歯科矯正
もし歯の噛み合わせが合ってない、歯の高さが不揃いなど口腔内に原因がある場合は、歯科矯正や歯の治療で噛み合わせを治す事で歯ぎしりも改善されます。
日中意識をする
クレンチング、所謂歯の食いしばりをしている場合、日中も無意識におこなっている場合があります。この場合は意識を改善すると食いしばりも改善します。日常的にふとした瞬間に上下の歯が接触しないように意識しましょう。舌を上の前歯の後ろに置くようにしてみてると歯が接触しづらくなります。その他、例えばパソコンに付箋で上下の歯を離すと書いておく、頬杖をする時に歯と歯が当たらないように気をつける、ガムを咬んでストレスを減らす、などが挙げられます。頬杖は顎に負担をかけ、顎関節に偏った力がかかるため歯ぎしりを助長される原因になります。また、寝ている時も枕を低くすると口が開きやすくなるので、低い枕でも寝れるという人にはおすすめです。
身体の力を抜くようにする
寝る直前まで仕事をしていたり、スマホをいじっていると身体に力が入ったまま寝てしまう事があります。ベッドに入ったら、深呼吸をして身体の力を抜くクセをつけましょう。肩を上げ下ろしして力を抜くのもおすすめです。寝る前にストレッチをするとリラックス効果を高める事ができますよ。
まとめ
歯ぎしりによる悪影響はすぐに出るものではないので、若いうちは放っておいてしまいがちです。しかし、歯ぎしりは初期こそ改善しやすく、逆に習慣化するとなかなか治しづらくなってしまいます。治しづらくなってやっと歯ぎしりによる口腔トラブルが出てきます。今は何ともないと思っていても、歯ぎしりをしている事に気がついたら早めに治療にとりかかりましょう。歯ぎしりの原因は様々なので、歯医者で歯ぎしりを相談するのが一番おすすめです。適切な治療方法を提示してもらえます。歯ぎしりをするとエラが発達して顔が大きく見えたり、エラの目立つ顔の原因にもなるので、美容の観点からも改善させる事をおすすめします!
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