今年は普段肌荒れしづらい方もニキビや皮膚のかゆみなどの肌トラブルに悩まされている人が多いようです。その原因がマスクによる肌荒れ。老若男女問わず、皮膚科を訪れる人も増えています。クリニックによっては例年の2倍以上の患者が訪れているところも。ツイッターやyahooでもマスクによる肌荒れの投稿や検索が増加しています。新型コロナウィルスの流行が始まってか半年以上、冬場からマスクをしている方からすると一年近くマスク着用の習慣が続いている事になります。なぜマスクをすると肌トラブルが起きやすくなるのでしょうか。まだまだマスクを外しづらいご時世に重ねて乾燥の季節がやってきます。対策を練って少しでも肌荒れを防ぎましょう。
マスクによる皮膚炎の主な原因
1.摩擦による刺激
マスクが肌に直接触れる部位は、肌と繊維がこすれ合い、摩擦による刺激から肌荒れやかぶれを起こしやすくなります。また、角層表面が削られることで、肌のバリア機能が低下してますます刺激を受けてしまいます。
2.呼気によるムレ
マスクの内側は吐く息で蒸れて高温多湿になり、ニキビを引き起こすアクネ菌などの細菌や雑菌が繁殖しやすくなっています。汗や皮脂も増えることから、ニキビ・吹き出物ができやすくなります。
3.肌の乾燥
マスクを外すと一気に内側の水分が蒸発し、肌の水分まで同時に奪って乾燥を引き起こします。マスクをつけているあいだは吐く息がこもっているので、肌が潤っているように感じるますが、マスクをする事で結果肌の乾燥が進んでかさつき・ごわつきが起こりやすくなります。
マスクによる皮膚炎の対策
肌がデリケートになっている状態で、スキンケアをおろそかにしているとますます肌荒れが進行してしまいます。マスクで肌が隠れるからと対策をおろそかにせず、肌の健康を保ちましょう。
1.肌にあったマスクを選ぶ
布やガーゼタイプのマスクだと肌への刺激を抑えられます。しかしながら、感染拡大を防ぐためには、不織布マスクのほうが効果を期待できる状況の時もあります。そのときの肌の状態と、感染予防の観点からみた状況によってマスクの種類を分けましょう。不織布マスクを使う場合、肌に触れる部分にガーゼやコットンなど柔らかい素材を挟むと刺激が和らぎます。また、マスクが頻繁に触れるほおや鼻、あご、耳の後ろにはあらかじめワセリンを塗っておくのもおすすめです。マスクが小さすぎると摩擦も起きやすくなるので、顔の大きさにあったサイズのマスクを使いましょう。マスクの布面だけではなく、マスクのゴムの部分による圧で耳周りの皮膚炎を引き起こします。細くて丸いゴムは負担が耳の一部に集中し、耳への負担が大きくなります。長時間着用する場合は平らなゴム製のものがおすすめです。
2.汗をこまめに拭く
マスクの着用中は、熱がこもって汗をかきやすくなります。汗が肌に付着したままにしておくと、かゆみやあせも(汗疹)などの肌トラブルにつながります。雑菌の繁殖を防ぐためにも、マスク内の汗はウエットティッシュや吸水性のよいタオル・ガーゼなどでこまめに拭き取りを。皮脂や汗を抑えたあとは必ず保湿ケアをしましょう。メイクの上から使えるスプレーミストなら外出時にも手軽にうるおい補給ができます。
マスクが汗で湿った場合は、新しいものに交換することをおすすめします。皮脂などで湿ったマスクを使い続ける事は雑菌増殖の原因になります。
3.十分なスキンケアできちんと保湿する
肌のバリア機能をきちんと働かせるため、帰宅後すぐに手を洗い、清潔な手で洗顔料をしっかり泡立てて顔を洗いましょう。洗顔後はすぐに化粧水や乳液、クリームなどで保湿してください。ニキビ肌の人やべたつきが苦手な人は化粧水だけで済ませがちですが、与えた水分を逃がさないためにも乳液やクリームの油分が欠かせません。油分がクッションとなり、マスクの刺激も和らげてくれます。スキンケア用品も、肌質に関わらずまず低刺激性のスキンケアを使うと安心です。お手入れのうえで大切なのは、肌に摩擦をなるべく与えず、しっかり保湿することです。
4.日焼け止めの刺激に注意する
これから冬にかけて、日焼け止めを使わない方も増えてくるかと思いますが、一日中外で活動する人には欠かせないアイテムです。すでに肌荒れを起こしている場合や、肌が敏感なときは、マスクで隠れる部位に日焼け止めを塗るのは避けたほうがよいでしょう。しかしながら紫外線ダメージもバリア機能を低下させる要因となりますし、マスクで紫外線の影響を完全に防ぐことは困難です。日焼け止めが使えない場合はつばの広い帽子をかぶるなどして、しっかりUV対策を行いましょう。
5.バランスのよい食事
十分な睡眠、栄養など、内側からのケアで肌トラブルを起こしにくい健康な肌を保つことも、肌荒れの予防にもなります。たんぱく質やビタミンなどの栄養素をきちんと摂るようにしましょう。炎症を抑える働きがあるビタミンC、肌のターンオーバーを促すビタミンAを多く含むものがおすすめです。ビタミンAには美肌効果もあります。また、発酵食品は腸内環境の改善に効果があるので便通を良くします。
反対に避けたほうがいいのは、揚げ物ばかりといった食生活。脂質のとりすぎなど偏った食事は皮脂の分泌を活発にさせやすく、汗腺(毛穴)を詰まらせてしまします。
肌トラブルをそのまま放っておくと、症状が悪化したり、あとが残ってしまったりする可能性があります。日々のケアだけではなかなか治らない…という場合は我慢したりせず、早めに皮膚科を受診しましょう。
皮膚科受診のタイミング
ニキビが治らない・肌の乾燥がおさまらない・肌にかゆみがある・肌に痛みがある・肌に赤みが出た・湿疹があるような場合は皮膚科受診のタイミングです。ニキビは早期治療で早くキレイに治すことができるので、症状がひどくなる前の受診をおすすめします。また、顔だけでなく、頻繁な手洗いや消毒の影響で手に肌トラブルが出る方も増えています。悪化すると慢性化して治りにくくなるため、手を洗った後はハンドクリームなどの保湿剤でケアして、気になる症状があればこちらも皮膚科で相談しましょう。
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