汗管腫を治してフラットなお肌へ!

30歳を過ぎてから、ニキビとはまた違ったブツブツが目の下などにできた…というお悩みをお持ちの方、それは「汗管腫」かもしれません。
老化現象のひとつとも言われており、メイクでは隠しきれない「汗管腫」ですが、実は治療で治すことができます。

汗管腫(かんかんしゅ)とは?

汗管腫とは、思春期以降の女性に多く発症し、30代を過ぎて目立ってくる良性の腫瘍のことです。直径1~5mmくらいの、ほぼ皮膚と同じ色か、もしくはやや褐色、黄色がかった平らに盛り上がった皮膚と同じくらいの軟らかさをもつしこりです。放置していると次第に数が増え、大きくなりますが、3~5mm前後の大きさに留まります。

顔面、特にまぶたにできやすく、下眼瞼から頬に広がるケースもあります。それほど多くはないのですが、腹部、胸部、腋窩、外陰部に広がるケースもあり、顔以外の場合は褐色がかっていることが多いです。

汗管腫は痛みや痒みは一切伴わず、皮膚良性腫瘍に分類されるので、放置していても健康上の問題はありません。
しかし、小さいゴマを散らしたように凸凹に隆起して顔の目立つ部分に好発し、肌が汚れたように見えるため、美容的問題から治療を検討される方も多く存在します。

原因

汗管腫とは、加齢とともに、汗を分泌する器官のひとつであるエクリン汗腺のもととなる汗管が真皮内で増えてしまった結果、イボ状に盛り上がって、発症されます。肌内部で腫瘍が増殖するため、その部分の皮膚の表面は1〜5mm程度盛り上がります。
女性ホルモンが関与していることがわかっており、そのため女性に多く見られる症状で、その男女比は1:3と言われています。

ほかに、遺伝的な要素が関係しているのではないかとも考えられています。

類似疾患

汗管腫は診断が難しく、似た症状のできものがいくつか存在します。
誤診され、間違った治療を受けると、かえって表面が黒ずんだり等のリスクを伴います。


<汗管腫の類似疾患>

◎ニキビ

◎いぼ(尋常性疣贅)
よく見られる一般的ないぼのことです。ウイルスの感染によって症状が現れます。単発のこともありますが、多発することも多く、集まって繋がったりすることもあります。通常、痛みや痒みはありません。
常色(肌色)の尋常性疣贅の場合、汗管腫との区別が問題となることはありますが、尋常性疣贅は名前の通り、表面がザラザラしておりカリフラワー状となっているため区別は可能です。

◎老人性疣贅(ろうじんせいゆうぜい)
30代の頃から出現し、皮膚の老化に伴って増えてくるイボの一種です。別名「脂漏性角化症(しろうせいかくかしょう)」と呼ばれます。 汗管腫とおなじ皮膚の盛り上がりが見られます。こちらも良性腫瘍ですが、炎症を起こしたり、日常生活で不都合を生じたりすることがあります。

◎LMDF
顔面播種状粟粒性狼瘡で、顔面、特に両側の下眼瞼を中心にプツプツとした丘疹が顔にできやすい点が汗管腫と似ています。
最終的には皮膚生検(皮膚を少し切り取って検査すること)で診断をつける必要があります。

◎エクリン汗嚢腫(のうしゅ)
エクリン汗腺の真皮内汗管の拡張により汗がたまり、それによって皮疹が発症するとされます。多汗になる状況で症状が現れやすく、夏季に目立ち、涼しくなると症状が和らぎやすいです。
顔によく見られるので、多発した時は汗管腫と非常によく似ています。

◎アポクリン汗嚢腫(のうしゅ)
中高年の顔面、特に眼周囲に好発する良性腫瘍で、赤褐色、青色、灰白 色をしています。眼瞼に見られるという点が汗管腫と似ていますが、アポクリン汗嚢腫は単発で、色味も異なり、臨床的にも鑑別可能です。

◎稗粒腫(はいりゅうしゅ)
白いくりっとした米粒大の病変で、目の周りを中心に出来やすい点が汗管腫や白ニキビにも似ていますが、病理学的に異なるので区別はそれほど難しくはありません。放っておいても問題はありません。
時に丘疹が破裂して、内容物が排出されることもあります。

◎脂腺増殖症(しせんぞうしょくしょう)
毛穴の中にある皮脂を作る脂腺が増えてできるできもので、中年以降に顔に増えてきます。特に男性に多く、ステロイドの飲み薬や糖尿病、透析が原因で出てくることもあります。
額や頬に多くみられ、白っぽいやや扁平な白〜常色丘疹で、よく見ると中心にくぼみがあることが多く、血管拡張が見られることも多々あります。
汗管腫のように集合して現れるすることは少なく、バラバラに散在することが多いです。

治療

治療を受ける上での注意点

汗管腫は良性の腫瘍であり、健康被害をもたらすような病気ではありません。
そのため、見た目の改善治療が必要であると診断するのは美容皮膚科の領域になります。これは自由診療にあたりますので保険適用外となり、全額自己負担となります。

体に大きな害はないものの、放置しておくと時間経過とともに小さなブツブツが融合して大きな面となり、見た目がさらに悪化する可能性があります。

また、類似疾患があることから、誤った治療法を受ける恐れもあります。
汗管腫は皮膚の真皮内で発生する腫瘍であるため、老人性のイボや稗粒腫などといった皮膚の表面を治療する液体窒素は適応ではありません。
ニキビやシミの治療に使われるピーリングも液体窒素同様、皮膚表面の角層を剥がす治療のため汗管腫に効果はありません。
病院によっては、悪性でないことから、治療をされずに終えるケースもあります。

しかし、顔にできる”できもの”は誰でも気になるものです。自力でどうにかしようと化粧品などのスキンケアを使いたくなりますが、汗管腫は肌の内部(真皮内)で発生した腫瘍であるため解消はされません。
いぼと自己判断し、いぼ治療薬を使う方もいますが、製品に使用されている成分によっては目の中に誤って入ってしまった場合大変危険なため、使用は避けましょう。

適切な治療法とは?

◎AGNES(アグネス)
表皮を傷つけず、肌の奥深く「真皮」へ直接アプローチすることができる高周波(RF)による美肌マシンです。
毛穴よりも細い針を汗管腫に差し込み、針の先から汗管腫の奥の方に高周波の熱を伝え、この熱により汗管腫のいらない細胞を破壊して汗管腫自体を縮めます。針を指した後、一時的に周りの組織が刺激されて腫れたように見えるものの、熱変性した汗腺の細胞は次第に分解されていき、汗管腫そのものが小さく盛り下がっていきます。
治療中は若干の痛みがありますが、表面に麻酔をかけるので耐えきれないほどの痛みを伴うことはありません。

汗管腫以外にも、難治性のにきび、オイリースキン、目周りの小じわにも有効です。

従来の治療(炭酸ガスレーザー)に比べてダウンタイムが少なく、コラーゲン生成も行うので治療箇所の皮膚の状態が良くなります。仕上りもきれいなことから、現在はアグネスを使った治療を優先的に使用している傾向にあります。ただし、アグネスだけでは完治しないと判断した場合、炭酸ガスレーザーも併用して治療に使うケースもあります。
アグネスは効果が現れるのが遅く、最初の1ヶ月は汗管腫の大きさの変化に気づかない、又は腫れによって少し目立つことがあります。効果は徐々に現れ、小さくなっていくのを実感できるまで3ヶ月〜半年ほどかかるというデメリットがあります。


◎炭酸ガスレーザー
従来の汗管腫治療の中で一般的な方法。波長10600nmの遠赤外線の熱エネルギーで汗管腫を削り、出血が少ないのが特徴です。

しかし、炭酸ガスレーザーは汗管腫ひとつひとつを深めにくり抜くような作業で、くり抜いた後に皮膚が点状に凹んでしまったり、その傷が治癒するのに時間がかかったり、傷跡が若干残るというというデメリットがあります。
また、深くくり抜いたとしても奥の方にあるエクリン汗腺が再度発達して症状が再発してしまうことを繰り返すケースもあります。


◎エルビウムヤグレーザー
エルビウムヤグレーザーの波長2,940nmは、炭酸ガスレーザーの約10倍の効率で組織を蒸散切除して、汗管腫を削ります。レーザー照射した部位は、蒸散して焦げないため、病変部が目視で確認できます。目視できる分、深さのコントロールがしやすく、組織へのダメージが少なく済むので瘢痕を生じにくいです。数が少なく大きな汗管腫の治療に適しています。

汗管腫以外にも、ホクロ、老人性イボ、稗粒腫、眼瞼黄色腫など皮膚の小腫瘍治療に大きな効果を発揮します。痛みが少ないので、小さなホクロ、いぼは麻酔が必要ありません。
水平方向にひとまわり広くレーザー照射することで、再発の予防も行えます。


◎針電気凝固法
汗管腫のひとつひとつに表皮を保護する絶縁針を刺して、汗管腫の腫瘍細胞や、その周辺に増生した組織を熱で凝固させます。汗管腫の病変部位のみを治療することができるため、ダウンタイムが少ないですが、アグネスと比べると若干ダウンタイムは長くなります。
傷跡を残すことがほとんど無く、治療後も痕になりにくいです。術後に1〜2日腫れる程度なので、テープでの保護が不要といったメリットがあります。

エルビウムYAGレーザーと針電気凝固法は、どちらも仕上がりには大きな差はありません。しかし、汗管腫の数がたくさんある方や治療直後のダウンタイムを気にされる方は、針電気凝固法が効果的です。

まとめ

汗管腫は特に目の周りに好発する良性の腫瘍であり、放置していても健康上大きな問題はありません。しかし、目立つ場所にできやすく、加齢と共に現れるので、できることなら取り除きたいところです。

汗管腫の類似疾患は多数あることから、他の病気との見極めが難しいです。
病院で診察を受けて誤診されたり、間違った治療を施されるというケースもあります。また、自己判断でむやみにスキンケア商品や市販の薬を使って改善しようとすることはやめましょう。かえって目立ってしまう恐れがあります。

もし、美容的な観点から治療を望まれる方は、まずは知識を持った専門の美容皮膚科医に相談することをおすすめします。
基本的に汗管腫の治療は1回で済むので、術後目立たなくなった人はそこで治療が終了します。もし満足いく結果が出なかった場合は約半年後に再治療が可能ですが、汗管腫は再発する傾向にあると言うことを覚えておきましょう。

治療法をいくつかご紹介しましたが、汗管腫の大きさによって効果的な治療法は異なります。
目の下のプツプツの正体がわからず悩んでいる方はまずは病院へ行き、自分に合った治療法で汗管腫を治して肌に自信を取り戻しましょう!

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