裂けてしまった耳たぶを元通りに!”耳垂裂修正”

裂けてしまった耳たぶを元通りに!”耳垂裂修正”

ピアスなどによって耳たぶが切れてしまったり、生まれつき耳が割れていたり…理由は人それぞれですが、耳たぶが裂けてしまっていることがあります。
変形してしまった耳たぶは、多くの場合、ほぼ元通りに近い状態まで戻すことができます。

耳垂裂とは?

耳垂裂(じすいれつ)とは、耳たぶが裂けてしまった状態のことです。別名「切れ耳」「裂け耳」「耳切れ」とも呼ばれています。

耳垂裂は生まれつきである先天性のもの(先天性耳垂裂)と、外傷などによる後天性のもの(後天性耳垂裂)と、ふたつに分類されます。特に後天性のものが圧倒的に多く、ケガのケースもありますが、中でも多いのはピアス穴によるトラブルです。

ピアスによるトラブルには
・ピアスの穴がだんだんと長く伸びていって、最終的に耳たぶが裂けてしまう
・拡張器で変形してしまった
・ピアスを何かに引っ掛けて耳たぶが裂けてしまう
など様々な理由があります。
しかし一番多いのは、長期的に少しずつ裂けて、気付いたら裂けていたというケースです。

ピアスの穴で耳たぶが切れてしまった場合、耳垂裂を治療せずに放置しておくと傷口から細菌が繁殖し、赤く腫れ上がり、痛みを伴う恐れがあります。 そのままにしていると、切れてしまった部分は傷が治ったとしても皮膚で覆われてしまい(=瘢痕化)、治った傷口同士は再びくっついてはくれません。傷が落ち着いたとしても一度切れてしまった耳たぶが自然に治癒することはないので、受傷後はなるべく早めに医療機関を受診することをおすすめします。

治療を希望する場合は、瘢痕化した部分を切除して縫合する必要があり、そのための手術が必要となります。
先天性耳垂裂の場合も外傷性耳垂裂と同様、治療するとなると手術を行います。

治療を希望する方の中には、耳たぶが裂けてしまった方以外にも
・アレルギー体質の方(ピアスの金属によって腫れや痒みを伴う)
・ピアスの穴が化膿しやすい方
・耳たぶ厚みがあってキャッチが食い込んでいる方
・ピアス穴が拡張してピアスが落ちやすい
・会社や面接などでピアス穴を指摘された
などといった理由の方がいらっしゃいます。

耳垂裂修正

耳たぶは耳介の中でも髪の毛で隠れにくい部分なので、特に目立ちやすいです。そのため、治療する際には傷が目立たないよう慎重に行っていきます。

耳垂裂の修正治療は、厚労省の指示によって保険適応は先天性耳垂裂に限定されており、ピアスなどが原因の後天性耳垂裂の場合には美容医療(自費診療)になります。
また、先天性耳垂裂の方は一般的に1歳以降から手術が可能となります。1回の手術で治りますが、小さいお子さんの場合は全身麻酔が必要です。

耳垂裂の手術は大きく二つに分かれ、「直線型縫合」と「非直線型縫合」があります。
「直線型縫合」は単純に縫い合わせるだけの簡単な方法ですが、縫合した傷の下の方が窪みやすく、それを避けるために「非直線型縫合」が考案されました。
「非直線型縫合」の代表的な治療法には「Z形成術」「ダブルトライアングル法」「W形成術」があります。
傷というものは手術によるものを含め、縮まる性質を持っています。その縮まりを予防するように「Z形成術」や「W形成術」を組み合わせたデザインを施し、手術をすることできれいな仕上りとなります。

直線型縫合

耳たぶの裂けてしまった部分に沿って皮膚を切り、再び縫い合わせる方法です。簡単なため、大学病院研修中などのビギナー医師でもできます。
切除する面積が最も小さいため、耳たぶが小さくなりにくく、左右差が出にくいのが特徴です。

シンプルな手術法ではありますが、単純に切除縫合するため、はじめは綺麗に治ったように見えても、次第に耳のなだらかなカーブ上にくびれ(ノッチ)が生じてしまいます。結果、きれいな耳たぶのラインに落ち着かず、傷口が目立つことがあります。

Z形成術

形成外科の中でも、最も好まれ、多く用いられている形成術のひとつです。線状の傷による引きつれ(瘢痕拘縮)が生じた場合に多く用いられます。

最初に傷の両側に二カ所の切り込みを入れます。そして、三角形になっている皮膚をそれぞれ入れ替えることによって、傷口がアルファベットの”Z”のような形になり、延長効果が出ることからZ形成術と呼ばれます。
仕上りは自然で、傷口は目立ちません。ひきつれが起きないので、直線型縫合のように耳のラインにくびれができる心配もありません。

Z形成術だけでも数通りあり、どの方法がいいかは、耳の形、耳垂裂の入り方により異なります。

ダブルトライアングル法

欧米では一般的に好まれる治療法です。
面と裏に小さな三角形の皮弁を作り出し、これにより皮膚の長さを確保し、また同時に傷をジグザグにすることで傷を目立たなくさせる効果があります。
他の方法と比べて、複雑な方法です。

W形成術(三角弁法)

耳たぶの縁の部分にW字型(実際にはV字型)の傷を作ることから、「W形成術」と呼ばれています。一見Z形成術と同じように見えますが、立体的な歪みが生じず、長さを常に正確に合わせられるために、Z形成術より仕上がりが更に良いのが特徴です。
裂け目の前後で厚みが異なっていたり、拡張器などによる耳の変形が高度な場合にも柔軟に対応できる方法です。

裂けてしまった線状の傷の両脇に、小さなジグザグの切開を行います。傷を切り取り、残ったジグザグ状の傷を丁寧に縫い合わせていき、そうすることで直線の傷は小さなジグザグの傷に変化します。 
Z形成術と同様、直線の傷に比べてジグザグの傷は目立ちにくいため、傷口をなるべく目立たないような仕上りを希望する方におすすめです。

施術の流れ

①カウンセリング
仕上りの希望や、治療を行う部位の状態に合わせて治療方針、治療方法、リスク、麻酔方法など、医師が詳しく説明していきます。カウンセリングを受けた当日の手術も、後日の手術も、どちらも可能なことが多いです。

②マーキング・麻酔
縫い合わせる部分にペンで印をつけ、局所麻酔を行います。
耳たぶは痛みが鈍い場所であるので、麻酔の注射による痛みはそこまで強くありません。

③手術
カウンセリングで決定した方法で、傷を糸を使ってキレイに縫い合わせていきます。傷の様子、左右の耳のバランスを見ながら丁寧に縫合します。場合によっては耳たぶを切開、切除することがあります。
傷の程度にもよりますが、手術は片耳で10〜30分程度で終了します。局所麻酔のため、手術中に意識はありますが、痛みを感じることはありません。

④手術後
傷口に医療用ガーゼとテープで保護をしたら、入院せずにそのまま帰宅可能です。すぐに食事など通常の日常生活ができ、手術当日からシャンプーやシャワーが可能です。
5〜10日後に抜糸を行うので、それまでは傷口を保護し続け、抜糸の際には再び病院に行く必要があります。


<リスク・注意点>
*手術後約3ヶ月は縫合部分に赤みを生じますが、6〜12ヶ月程経過すると、赤みもわずかなしこりも消失します。

*術後約3日間は湯船につかる(温泉、サウナなども)、飲酒、激しい運動は避けましょう。

*手術創から細菌感染することで、傷跡の痛みが増し、腫れ、汁や膿が出てくる可能性があります。

*稀に、傷跡を縫合した糸が、衣類やシーツなどと擦れることで糸が取れてしまうことがあります。

*手術に伴う痛みを数日感じる場合がありますが、痛み止めの飲み薬を飲むことで十分に対応可能です。

*傷跡の最も下のあたりにくぼみが残ったり、引きつれが起きたり、満足いく仕上りにならない場合があります。その場合には再手術で修正します。

*耳垂裂がいくつもある場合や、耳垂裂は1箇所でもケロイドや肥厚性瘢痕が合併している場合は、完全に耳の形を元通りにはできすに変形が残る場合があります。また、体質によってケロイドが発生する場合にはステロイドの注射などの治療で対応します。

*血腫を生じると除去が必要な場合があります。

*施術日~3週間ほどは、就寝時は患部が圧迫されないような就寝体位を心がけましょう。

まとめ

裂けてしまった耳たぶは、もうキレイには戻らないものだと諦めてはいませんか?
生まれつきの方も、ピアスなどによって裂けてしまった方も、耳たぶは意外にも目立つ部分であるために気になってしまうでしょう。日常生活に支障をきたすことは少ないですが、仕事や人目の問題から耳たぶはキレイでいたほうが良いとされることもあります。

耳垂裂の治療は手術でしか治すことができませんが、そこまで大掛かりなものではありません。手術時間は短時間で終わり、リスクやダウンタイムも少ないので、比較的気軽に受けられる手術です。
耳垂裂の手術方法は様々な方法が考案されており、一概にどれが優れているとは言えません。耳の形、分厚さ、変形の具合によって最適な治療法は変わってくるので、カウンセリングの時点で医師とよく相談し、診てもらいましょう。

裂けた耳たぶでは、再度ピアスをつけることは難しいです。
しっかりと治療することで、ほぼ元通りのきれいな耳たぶにすることができるので、完治した際には(手術後約1年後)またピアス穴をあけて、オシャレを楽しむことができます。
生まれつきの方も含め、耳垂裂でお悩みの方は一度手術を検討してみてはいかがでしょうか?

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