出産を機に、太りやすい身体になっていませんか?運動をしたくても育児で忙しい…!そんな産後女性に、手間もお金もかけずに妊娠前のからだを取り戻すための生活習慣や運動方法をご紹介します!
産後は自然に痩せるもの?
母乳育児の場合、一般的には産後1年ほどで妊娠前の体型に戻ることが多いといわれていますが、それはなぜでしょうか。母乳は、プロラクチンという産後に分泌されるホルモンの作用によって作られますが、主成分は産後女性の血液です。母乳の生成および授乳には非常に多くのエネルギーを必要としており、授乳するだけで1日に約600kcalを消費しているといわれます。これは、1時間ほどのランニングを行うのと同等の消費カロリーなのです。そのため、育児の中で特に運動をしていなくとも、授乳するだけで痩せると言われているのです。
しかし、母乳育児をしている女性が全員痩せるとは限りません。授乳によって消費されるエネルギー量は、女性の体質や赤ちゃんの授乳量によっても異なります。授乳によって消費されるエネルギーを上回るカロリーを摂取すれば、当然ですが太ってしまいます。併せて、「母乳育児は痩せるから好きなものを好きなだけ食べてOK!」にしてしまうと、母乳の質も悪くなる可能性があります。併せて乳腺が詰まってしまう、乳腺炎にもなりかねません。甘いものや油モノを食べすぎることなく、栄養バランスの取れた食事を心掛けましょう。
産後ダイエットはいつからするのがベスト?
妊娠中に出産のために蓄えられた脂肪は少しの運動で消費されやすく、落としやすい状態になっています。なぜなら、産後は妊娠前のからだに戻るために、ホルモンバランスが変わっていき、脂肪を蓄えやすい身体だったものが、蓄えにくい身体に変化していくからです。しかし、時間が経つにつれて、脂肪は落ちにくくなってしまいます。また、出産とともに開いた骨盤も、骨盤周辺のじん帯や筋肉が緩んだ状態の時こそ鍛えると、元に戻りやすくなるのです。逆に、ゆるんだ状態で筋肉が硬く縮んでしまうと、筋肉を鍛えることが難しくなるだけでなく、骨のゆがみも治りにくくなってしまいます。よって、産後3~6カ月は痩せやすい時期ですので、この頃からダイエットとして運動を始めるのがよいでしょう。
また、産後3か月頃の赤ちゃんは、産まれたときの2〜3倍の体重になります。赤ちゃんを抱っこしながら歩いたり、家事をこなしたりすることで、産後女性の運動量は必然的に上がり、エネルギー消費が更に多くなっていくのです。
そのトレーニング、ちょっと待って!
産後、脂肪がつきやすく、太ってしまったと感じやすいのはお腹周りです。「お腹周りを凹ませる運動といえば腹筋!」と、負荷のかかる腹筋運動を始めると、実は産後の女性には逆効果。それは、腹筋が裂けてしまっているからかもしれません。
お腹の筋肉が裂ける!?
妊娠・出産を経験した女性の多くは、腹直筋離開(ふくちょくきんりかい)を経験します。腹直筋とは、お腹の前面にある、縦に伸びる筋肉のことですが、妊娠によりお腹が大きくなるにつれて伸び、左右に開いて穴の開いたような状態になります。また出産の際に分泌されるホルモンにより、じん帯や筋肉が緩むことによって、左右の開きはさらに大きくなるといわれています。このような状態を腹直筋離開と呼んでいます。腹直筋離開が起こると、以下のような症状が現れます。
- お腹に力が入らない(腹筋運動ができない)
- お腹に違和感がある
- 咳や腹筋運動をしようとすると、お腹の真ん中に縦にぽっこりと盛り上がりができる
- 産後3か月以上経ってもぽっこりお腹が解消されない
- お腹がぐにょぐにょと動く
- 四つん這いになるとお腹が垂れる
- お腹に力を入れるとお腹の形が変わる
- 横になるとお腹が垂れる
- 食後にお腹が出る
- 産後から出べそになった
腹直筋離開は、上の症状のほかに、お腹を触って確かめることもできます。方法は、膝を立てて仰向けに寝そべり、首を少し床から持ち上げます。その際に、おへその上やおへその下あたりに指が入る(お腹の中に指が深く入る感覚がある)場合は、腹直筋が理解している可能性が非常に高くなります。
そして、この腹直筋離開が起きている方が上体を起こすような負荷のかかる腹筋運動を一生懸命しても、左右に開いた筋肉がさらに開いてしまうだけなので、お腹をへこませるには逆効果になってしまうのです。腹直筋離開は、1年ほどで自然に治ると言われていますが、腹直筋が治るのを待っていたら、脂肪を減らしやすい時期を逃してしまいます。産後3か月から、腹直筋離開の状態でもできる運動を少しずつ始めていきましょう!
産後3か月から始めるエクササイズ
お尻の穴を締める
5秒間お尻の穴を締め、息を吐きながらゆっくりと元に戻します。お尻の穴を締めるイメージは、肛門を体の奥に引っ込める感じです。運動をする時間が取れれば時間を測ってゆっくり行うのがいいですが、この運動の最も良いところは「気が付いたときにいつでもできる」ことです。ただし、気を付けてほしいのが、「お尻の外側の筋肉(大殿筋)ではなく、肛門を締める」ようにすることです。慣れないうちは、お尻の盛り上がっている部分の筋肉に力を入れてしまいがちですが、肛門を締めることに意味がある運動です。これができるようになると、妊娠中や産後に尿漏れがあった方や、痔や脱肛になってしまった方、骨盤のゆがみにも効果があると言われています。
姿勢を正す
簡単ではありますが、背筋をピンと伸ばすことも腹筋・背筋を鍛える運動の一つになります。産後、授乳や抱っこの姿勢は、身体を丸めて行いがち。腹筋にも力が入りにくいことから、ついつい猫背になってしまいます。まずは気が付いたときに背筋を伸ばし、姿勢を正すことで、普段使っていなかった筋肉を使うように意識してみましょう。また、椅子に座るときには、背もたれにもたれかかることなく座ってみてください。始めは腰など痛くなるかもしれませんが、筋力がついてくると、自然に背筋を伸ばして椅子に座れるようになります。筋力が付くと代謝が上がるため、脂肪の燃焼も早くなります。
ウォーキングをする
ウォーキングは、抱っこひもやベビーカーを活用し、赤ちゃんと一緒にできるエクササイズです。赤ちゃんにとっても外に出て外気に触れることは、外の世界に慣れるだけでなく、好奇心を刺激することにもつながります。ウォーキングは、脂肪の燃焼に効果があるだけでなく、骨盤の引き締めや姿勢の改善にも力を発揮します。
ウォーキングで大切なことは、できる限り背筋を伸ばして歩くようにすることです。ベビーカーを押しながら・赤ちゃんを抱っこしながらのウォーキングだと、姿勢が前かがみになりがちですが、できるだけ背筋は伸ばしてウォーキングした方が効果は高まります。腕を動かしたりすることは難しいかもしれませんが、姿勢に関しては可能な限り意識してみましょう。
最後に
2012年に日本製紙が出産を終えた女性への自身のからだのケアについてアンケート調査を行いました。その調査において、出産を経験した70%の女性が産前の体型に憧れをもち、現在との違いに悩んでいるものの、実際に産後ケアに取り組んでいる人は2割程度と、日々の忙しさや金銭的理由から消極的になっている調査結果が出ています。
引用元:https://www.nipponpapergroup.com/news/mt_pdf/200186674.pdf
産後の女性にとっては、自分の身体よりまず赤ちゃんのことを優先しなければならない状況が多々あるでしょう。でも、今回ご紹介したエクササイズは、お金もかからず、ふとした時にできるものばかり。育児に忙しいとは思いますが、ぜひ思い出していただき、気分転換をしながら自分自身の美と健康もしっかり手にしていきましょう!
コメントを書く