女性らしさの鍵、女性ホルモンについて

女性らしさの鍵、女性ホルモンについて

女性らしさをつかさどるのが女性ホルモンといわれていますが、女性自身もこの女性ホルモンについて知らないことが多いのではないでしょうか。女性らしさだけでなく、女性の調子までも左右する女性ホルモンについての知識を深め、自分自身がいつもイキイキとしていられるようにしていきましょう!

女性ホルモンとは?

まずはホルモンについてですが、ホルモンとは、人間の身体のさまざまな調節を行う化学物質です。成長ホルモンやインスリン、アドレナリンなどを耳にしたことがある人はおおいのではないでしょう。実はこれらもホルモンなのです。ホルモンは、体の様々な場所で作られますが、その量はほんのわずか。しかしそのわずかな量で、人の身体の調子をコントロールしています。今回取り上げた女性ホルモンは、卵巣で作られています。一般的に「女性ホルモン」といわれていますが、「エストロゲン」と「プロゲステロン」という2種類のホルモンのことを総称して女性ホルモンと呼んでいます。

エストロゲン

卵胞で作られるため卵胞ホルモンと呼ばれており、女性らしい身体をつくる作用があります。女性らしい身体とは、乳房の発達や、お尻のふくらみなど、脂肪がついて丸みのある体つきになってくるものです。また、自律神経の働きを安定させたり、血管・骨・関節などを健康に保つ働きなどもあります。それだけでなく、記憶力・集中力など脳の働きを保つ効果もあります。 加えて、子宮内膜を厚くする作用があります。これは、妊娠や月経にかかわってくるものです。 女性の美しさにも関係があり、髪や肌の潤いを保つ働きもエストロゲンが担っているのです。

プロゲステロン

卵巣の黄体で作られるため黄体ホルモンとも呼ばれ、妊娠をつかさどるホルモンがプロゲステロンです。エストロゲンの働きによって厚くなった子宮内膜を柔らかく維持し、妊娠しやすい状態をつくります。その他、体内に水分や栄養素を保ち、基礎体温を上げる働きがあります。また食欲を増やす作用もあります。一方、血行が悪くなったり、抑うつ状態になりやすくする作用もあります。体内に水分を保つため、体がむくみやすくなったり、太りやすくなったりすることもあります。さらに、腸のぜん動運動を抑えるため、便秘になることもあります。

女性ホルモンの周期的変化と加齢による変化

女性ホルモンであるエストロゲンとプロゲステロンは、日々の生活においても分泌量に変化があり、女性の一生の中でも増減があります。

周期的変化

約1か月の周期で訪れる月経も、女性ホルモンの作用によって起こります。月経~排卵(卵胞期)の約2週間にエストロゲンの分泌量が増加し、排卵~次の月経まで(黄体期)の約2週間にプロゲステロンの分泌量が増加します。エストロゲンの分泌により、月経後は女性にとって好調な期間が続きますが、約2週間でエストロゲンとプロゲステロンの分泌量は逆転し、プロゲステロンの分泌が多くなることで、PMS(月経前症候群)を起こしたり、プロゲステロンの影響で月経中の不調を起こしたりします。

加齢による変化

女性の一生のうち、女性ホルモン、特にエストロゲンは、年齢とともに増加、そして減少していき、その増減が身体にも心にも大きな影響を与えます。10代の思春期の頃に初潮を迎え、月経がはじまると、エストロゲンが増え始め、性成熟期といわれる20代~30代の頃に分泌量のピークを迎えます。30代後半から分泌量は減り始め、40代~50代になると、急激に分泌量が減ります。エストロゲンの分泌量が減る理由は、卵胞ホルモンと呼ばれるエストロゲンは卵胞で作られていますが、産まれたときからこの卵胞の数が決まっています。卵胞は自然に消滅したり、排卵によって徐々に数が減っていき、40代~50代で消滅します。そのため、エストロゲンも作られなくなるのです。そしてこの時期は更年期と呼ばれています。

先述の通り、エストロゲンは女性の身体にとって味方になるホルモンですが、エストロゲンが減少することにより「更年期障害」とよばれる不調で悩む女性も少なくありません。

エストロゲンは増やせる?

女性は、月経の際や加齢によってエストロゲンが減少すると不調を起こしやすくなることが分かっています。一方でエストロゲンは、分泌されると女性の肌や髪を美しく保つ効果があるので、エストロゲンを増やしたい…!と多くの女性は少なくないはず。では減少するエストロゲンを補うことはできるのでしょうか。結論から言うと、減少する女性ホルモンを増やすことは非常に難しいでしょう。現状、重い更年期障害で悩まれている方に対し、ホルモン補充治療というものがあります。しかし、これらはあくまで治療であり、20代のような女性ホルモンの分泌量に回復するようなものではありません。女性ホルモンの急激な減少を緩やかにし、更年期障害の症状を緩和することが一番の目的なのです。

また、大豆などに多く含まれるイソフラボンという成分が女性ホルモンを増やすと言われてきましたが、これも残念ながら正しくはありません。イソフラボンは、女性ホルモンに「似た働き」をする成分であり、女性の身体の調子を整えるサポートとして活躍が期待されているものです。ですので、イソフラボンをたくさん摂ったからといって、女性ホルモンが増えるというわけではないのです。

併せて、エストロゲンを増やすには、恋愛やセックスをするといいともいわれていますが、これも正しいものではありません。恋愛やセックスにおける感情の高ぶりや多幸感によって肌ツヤがよくなったり、気分が明るくなったりするため、女性ホルモンが出ていると感じるのかもしれませんが、これは脳内ホルモンといわれるドーパミンやオキシトシンの影響であって、女性ホルモンであるエストロゲンが分泌されているからではないのです。

このように、女性ホルモンは残念ながら加齢とともに減っていくものなのです。

女性ホルモンの減少を抑えるために

加齢に伴う女性ホルモンの減少を止めることはできませんが、日々の生活習慣によって女性ホルモンが減少している可能性もあります。女性ホルモンの分泌がピークである20代~30代の女性も普段の生活習慣を見直すことで、女性ホルモンの減少を緩やかにし、将来の出産や更年期に向けて、身体の調子をコントロールしていきましょう。

リラックス

ストレスがある状態だと、女性ホルモンの分泌をつかさどる脳の視床下部に影響が出て、女性ホルモンの分泌量を低下させてしまうことがあります。ゆったりと落ち着ける時間を設けたり、趣味の時間を取ったりすることにより、ストレスを溜めない・発散するようにしましょう。また、PMS(月経前症候群)などで不調であるにも関わらず、無理に身体を動かすこともストレス要因となります。自分自身の身体と向き合い、できること・できないことを理解することも重要です。これまで紹介してきた通り、女性の身体の調子は、女性ホルモンの周期によって大きく左右されます。まず自分の周期を知り、不調がくるときには無理をしない、調子がいいときに活動量を多くする、痛みが出た場合にどうするかなど、自らの対処法を確立することができれば、不要なストレスと付き合うことも少なくなるでしょう。

バランスのよい食生活

偏った食生活を続けていると健康が損なわれ、女性ホルモンの分泌に影響が出ることがあります。そのため、肉や野菜、魚などバランスよく摂取するようにしましょう。また、先述の通り、イソフラボンは女性ホルモンと似た働きをする成分です。納豆や豆腐、豆乳、油揚げなど大豆製品を意識的に摂取し、女性ホルモンの働きを補っていきましょう。

質の良い睡眠

睡眠不足によって自律神経のバランスが乱れると、女性ホルモンにも悪影響を及ぼします。十分な睡眠時間をとるだけでなく、睡眠の質を向上させることを意識してみてください。寝る前のスマートフォンの操作をやめてみたり、寝る1時間以上前に入浴を済ませておくなど、できることから始めてみましょう。

最後に

女性の心と身体は女性ホルモンによって良くも悪くも支配されています。しかし、女性自身がそのことを知る機会は、実はそんなに多くありません。知るきっかけになるのは、「調子がよくないな」と思ったタイミングが多いのです。しかし、その頃には既に更年期に入っている…なんてことも。自分自身の身体のことを知り、可能な限り自分でコントロールできるようになると、日々の生活がより過ごしやすくなるはずです。正しい知識を習得することと、毎日の小さな意識で、日常をイキイキと過ごせるようにしていきましょう!

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