夏に一番気になるワキガ!改善方法と治療法

夏に一番気になるワキガ!改善方法と治療法

夏の暑い時期、少しの間でも外に出ると滝汗をかいてしまいます。そんな中で脇のニオイが気になっていたり、悩みの種という人も多いのではないでしょうか。所謂「ワキガ」はなんと日本人の約10人に1人がなっていると言われています。自分がワキガかどうかはわからないけど、ふとした瞬間にニオイが気になるという場合もあります。ワキガはニオイが強く、特に汗のかきやすい夏場は周囲にも不快感を与えてしまったり、私生活に影響を及ぼしがちです。またトップスに脇汗シミが出来やすく、視覚的にも目立ちやすくなります。今回はワキガの原因とその改善方法・治療法について解説します。

そもそもワキガって?

ワキガとはワキの下から出る独特な臭いです。汗が臭いのだと思っている人もいますが、汗そのものは無臭で、ワキの無臭の汗を「常在菌」が分解することでニオイが発生します。ワキの汗はアポクリン腺から出る汗と、エクリン腺から出る汗の2種類でそれぞれ成分が異なります。アポクリン腺から出る汗は脂質・たんぱく質・糖質・アンモニアといった成分を含み、皮膚に存在する菌が汗を分解することで、いわゆる「ワキガ臭」が発生し、皮脂と混ざることでさらにニオイが強くなります。エクリン腺から出る汗は、水と塩分でできた汗で、皮膚に存在する菌が汗を分解したり、皮脂と混じり合ったりすることでニオイが発生し、いわゆる「汗くささ」や「体臭」の原因になります。ワキガ体質の人はそうでない人に比べてアポクリン腺の数が多いために特有のニオイが強くなりやすく、エクリン腺から出る汗とともにニオイが周囲に拡散しやすい傾向にあります。

なぜ女性の悩みになっているのか?

実は欧米では多くの人がワキガ体質なので、単に腋臭や体臭は生理的な現象の1つとされ、不快に思う人も少なくあまり問題にならないようです。そのため治療を受ける人もほとんどいませんが、体臭の強い欧米人は、日本人の数倍アポクリン腺が多いといわれています。しかし、日本では少数派のため、かえってワキガで悩んでいる方が多く、治療に踏み切る人も多くいます。女性で悩む人が多いのは、女性の方が男性より匂いに敏感で悩みの原因になる人が多いことと、女性の方が性徴が早いことから発症も早いと言われており、若いうちから悩みになっている人が多いからと言われています。匂いの原因となるアポクリン腺と皮脂腺の分泌液は毛穴を通って皮膚の表面に出てくるので、ワキなどの毛が多い人はこれらの腺の数も多いと推測できます。
思春期ごろに発達していき中年以降に軽減していきますが、加齢と共に加齢臭が発生してくるので、かえって中年期に臭いが強くなるというケースもあります。

ワキガかどうかの判断方法

ワキガかどうかを正確に判断する方法は実はありません。医学的には病気ではなく、先に説明した通り欧米では多くの人がワキガ体質と言われるほど一般的です。では、医療現場ではどのようにワキガかどうかを判断しているのでしょうか。判断基準として、「ワキにアポクリン腺が多数あるかどうか」「耳あかが常に湿っているかどうか」「両親、祖父母、兄弟にワキガの症状があるかどうか」「医師の嗅覚」「本人がワキガ体質に悩んでいるかどうか」などが挙げられます。ワキガは他人に移るということはありませんが、両親、祖父母、兄弟にワキガの症状がある場合、自分もワキガになる可能性はあります。両親どちらかがワキガだと約50%、両親共にワキガだと約75%の割合で子どもに遺伝すると言われています。加えて、ワキガの方には多汗症を伴っている人が多い傾向にもあります。ワキガでない人の腋汗の色は透明ですが、ワキガの人は様々な物質を含んだアポクリン汗を多くかき、これが腋に触れる衣類に黄ばみをもたらします。また、食生活が高カロリーな肉類や高脂質の食品をよく食べるとアポクリン汗腺および皮脂腺の活動を促し、結果的にワキガを引き起こします。これらに当てはまる部分があってワキガかも?と気にしている場合は一度皮膚科を受診しましょう。

ワキガのレベル

ワキガの程度は人によって異なります。軽度のワキガであれば、特に人から指摘されたことはないけれども、「着替えの際に鼻が近づくことで自らワキのニオイに違和感を感じた」といった程度で、他人は気にしていないけど自分が気になるという場合が多いです。この程度であれば、制汗剤などでも対策ができます。中度のワキガになると、近づいたり密閉空間で他人が気がつくようになります。例えばラッシュの電車内などで近くにワキガの人がいることには気づくけど、誰なのかまでは明確にはわからないというようなレベルになります。ただし、夏の暑い日に汗をかいて薄着でいると、他人が不快に感じる可能性があります。重度の場合は部屋に入ると他人が誰でも気がつくほどのニオイになります。上着を着ていたり、人が密集していなくても強いニオイを感じます。このレベルになると市販品などで対策しても抑える事が出来ず、治療が必要になります。

ワキガは予防もできる

ワキガは遺伝的な要因もあるので、予防だけで完全にニオイがなくなるというわけではありませんが、ある程度ニオイの発生を抑えることはできます。

食事の改善

ワキガの臭いがきつくなるのは、体が酸化して、抵抗力が低下していることが考えられます。そのため、酸化しやすい食べ物(肉などの脂質の多いもの)を多く摂取し続けると、体内が酸性に傾きやすくなります。牛乳やバターなど、乳脂肪分が豊富に含まれるものも該当します。洋食にはワキガの臭いを強くする食べ物が多いので、タンパク質を取る場合は肉や高脂質食をやめて大豆製品や魚中心に置き換え、野菜類や和食中心の食事がおすすめです。臭いを抑制するアルカリ性の食べ物には、海藻類、梅干し、緑黄色野菜などが挙げられます。

飲酒や喫煙を控える

アルコールやニコチンには汗腺を刺激する作用があります。摂取するとアポクリン汗腺の働きが活発になるので、ニオイを気にする人は控えた方がいいでしょう。

ストレスを溜めない

ストレスを溜めたり、緊張をしすぎると自律神経のバランスが崩れ、交感神経が優位に働き、汗やにおいが増えます。睡眠をきちんと取り、規則正しい生活を心がけ、安定した精神で過ごしましょう。

清潔を保つ

細菌や分泌物を取り除き、常にワキを清潔に保つことを心がけましょう。日中のシャワーが難しい場合は、アルコール綿で拭き取るのもひとつの手段ですが、肌の弱い方は避けましょう。アルコール綿は一度拭くと効果は約12時間持続するといわれています。汗をかいたら洋服を着替える事も大切です。汗のついた服を長時間着用すると雑菌が増えます。汗を服だけではなく、洋服も着替えるように心がけましょう。通気性の良い服を着て、ワキの熱や汗を逃がすというのもおすすめです。また、脇毛が無くなると汗がたまりにくくなり、清潔な状態を維持することで臭いも抑えられます。毛深い人は特に雑菌が繁殖しやすいので、脱毛や除毛をおすすめします。

制汗剤や殺菌剤を使用する

制汗剤によって、汗や雑菌を抑制させます。しかし、ワキガの臭いと制汗剤の香りが混合されると、さらに強い臭いが生じる恐れがあるので、制汗剤を選ぶ際は無香料タイプがおすすめです。また、汗をかいた状態で制汗剤を使用しても効果はないので、使用する前は汗を拭き取りましょう。軟膏やスプレー、ローションなど種類があるので、自分にあったものを選びましょう。

外科的手術での治療もできる

特にワキガが重度の場合は他人に不快感を与えてしまうという事もあり、手術による治療が有効になってきます。ただし、外科手術になるので、傷あとが残ってしまうなどのリスクを伴うケースも多いです。実際に治療する時は、メリットでメリットをしっかり医師と確認し、治療を進めるか判断しましょう。

①汗腺剪除手術(剪除法)

日本におけるスタンダードな手術法です。皮弁法とも呼ばれています。ワキの中央部1、2ヵ所、約2.5~4センチの切開から皮膚を裏返して直視下に確実にアポクリン腺をハサミで除去します。約80〜90%の除去を可能とし、一度の治療で臭いがほとんど気にならなくなります。傷跡はワキのしわに沿った傷跡となるため、ほとんど目立ちません。様々な治療法の中でもワキガに対する治療効果は最も高いと言われ、併発しやすい多汗症にも効果があります。抜糸や術後経過の診察のために通院が何回か必要となります。保険が適用されるため、自己負担額が抑えられます。

②皮膚切除

ワキの下の有毛部の皮膚を切り、皮膚を縮めるという原始的なやり方です。以前は皮膚切除が主体とされ、臭いの抑制は大いに期待できますが、傷の引きつれが強くなる恐れがあります。保険が適用されるため、こちらも自己負担が少なく抑えられます。

③クアドラカット法

先端にシェーバーが着いた吸引管を、脇の下に入れた小さな切れ目から皮下に挿入します。先端のシェーバーでアポクリン腺を切除しながら吸引し、取り出す方法です。以前は剪除法より効果が劣るとされていましたが、シェーバーの改良が進んだため、現在ではほぼ同じ効果が得られます。傷跡が小さく済み、術後の経過が早く、剪除法よりも1〜2週間早く復帰できてトラブルも少ないです。しかし保険が適用されないので、手術費が高くなります。

④超音波法

脇の部分を1cmほど切開して、超音波メスを皮下に挿入します。超音波を使い、剝離と汗腺除去を同時に行う治療法です。

手術以外の治療法もある

近年では手術以外の方法もあります。効果は減ってしまいますが、傷が残らないなどのメリットもあります。

①ボトックス注射

ワキガの治療をしたいが、手術は避けたい人が多く受ける治療法です。アポクリン腺のある箇所に注射してから4~7日後から臭いが抑えられ、6~10ヶ月ほど薬剤の働きが持続します。汗を多くかく時期だけ注射をするということができます。施術時間も10分程度と短く、手軽に受けられますが、治療費は自由診療になるため高額です。軽度のワキガの人や多汗症の人に向いています。

②ミラドライ

メスを使わず、合併症も少なく、半永久的に治療の効き目が持続する治療法です。電子レンジなどにも用いられているマイクロウエーブを活用して、汗腺にダメージを与えます。アポクリン腺とエクリン腺のどちらにも作用するため、臭いだけでなく、汗の量も抑制する働きも期待できます。中度〜重度のワキガの人や多汗症の人に向きます。ボトックスと違い半永久的に効果が期待できますが、施術は60分程度と長めです。

③レーザー治療

アポクリン汗腺自体をレーザー治療で破壊し、ワキガの臭いを元を断つことができ、汗も大幅に軽減されます。再発もなく根治治療が可能です。施術後は、赤みや腫れもなく、圧迫帯や絆創膏などの処置も必要ありません。ダウンタイムが特にないので、すぐにいつも通りの生活ができます。

④外用薬

汗を抑える外用薬を使用することでニオイを抑える事ができます。根本的な原因の治療にはなりませんが、軽度の人であれば夏に限って使用するという方法が可能です。抗生物質を含んだ外用薬であれば、2~3日使用してニオイを抑えることができれば、そのあと1〜2週間ほどは塗る必要がありません。

まとめ

今年の夏は、会社通勤の生活に戻ったり、人と会ったりとアクティブな生活に戻ったという人も多くいると思います。ニオイは他人に不快感を与えてしまう原因にもなるので、汗をかきやすい夏の間は特に周囲の人にも気づかれやすい季節。汗をかいてしまうのは仕方がないことなので、汗をかいたらこまめなケアをしましょう。ただし、説明した通り海外では気にする人がいないですし、手術による治療も可能なので、悩み過ぎず、気になれば病院で相談し、どの方法が一番ベストかを探りましょう。普段から規則正しい生活や禁煙・禁酒などを心がけていると体質も改善し、ニオイも和らぎます。自分がどの程度のニオイなのかを知り、正しい治療や予防を行ってくださいね。

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