豊胸に憧れるけど、人工物を入れるのは抵抗がある…といった方には脂肪注入豊胸がおすすめです。
自分の脂肪を使うので安全性が高く、傷跡も最小限に抑えることができます。定着率も高く、自然な仕上りになるので人気のある豊胸術です。
脂肪注入豊胸とは?
脂肪注入豊胸とは、人工物(プロテーゼ、ヒアルロン酸など)を使用しないで、自分自身の脂肪を採取し、それを注入することでバストアップを図る豊胸術です。
脂肪注入によって大きくなった乳房は非常に柔らかく、非常に自然です。限りなく本物に近い柔らかさ、自然で美しいバストラインを実現します。
人工物ではなく自分の脂肪を使うので、術後の合併症や被膜拘縮など副作用のリスクが低いです。一度安定すると、インプラントのようなメンテナンスも不要で、安心して生活できます。
(※痩せている方は、採取できる脂肪の量に限りがあるので、脂肪注入は不向きです。病院によっては、インプラントなど他の方法をお勧めされる可能性があります。)
しかし脂肪と言っても、自分の気になる部位の脂肪を使えるわけではありません。豊胸のための脂肪採取には、腹部や太ももの内側のように、繊維質の少ない脂肪が向いているとされています。
腹部・太ももの内側から吸引した脂肪から不純物(死活細胞や老化細胞、血液、麻酔液など)を除去し、健全な高純度の脂肪細胞のみをカニューレと呼ばれる金属製の細い管を用いて丁寧に脂肪を吸引するので、吸引部に凹凸ができるリスクは低く、出血も少なく抑えられます。
カニューレで細分化注入することにより生着率も高く、自然で美しいボリュームあるバストを形成します。
安全で身体への負担も少なく、豊胸と同時に脂肪吸引も行うため、全身のバランスを整えることができます。しかし、脂肪注入を目的とした脂肪吸引であるため、吸引部が極端に痩せることはありません。
また、注入した脂肪が生着せずに、体内に吸収されてなくなってしまうことがあります。部分的な減少が見られる場合は、追加注入が必要です。
大幅にバストアップしたい人は、多く脂肪注入したくなると思いますが、多めに脂肪を注入しても定着する脂肪が少なくなってしまいます。一度の施術で極端なボリュームアップは難しく、せいぜい2カップ程度が上限です。
胸全体に脂肪を注入する場合は、期間をあけて脂肪吸引・注入が必要となります。
<おすすめの方>
*より自然な仕上がりを重視したい
*加齢や授乳で下垂してきたバストが気になる
*既にシリコンバッグを入れている
*傷口を最小限に抑えたい
*左右差が気になる
*プロテーゼ抜去後のバスト再生がしたい
*人工物を体内に入れたくない
脂肪注入豊胸によるリスク
採取された脂肪は血液の流れが途絶し、血液から酸素や栄養を受け取ることができなくなった脂肪は壊死してしまいます。壊死した脂肪は、しこりとなって大きな痛みを与えてしまいます。
かつては脂肪注入によって沢山の合併症を引き起こしたことがあり、米国の形成外科学会では乳房への脂肪移植を禁止した時期もありました。幸い、その後安全な脂肪注入の方法が発見され、現在では再生医療の概念の導入により、脂肪を用いた手術は大きな盛り上がりをみせています。
技術は発展しても、今でも極稀に炎症や壊死などの合併症があります。脂肪注入によるしこりや石灰化は乳がんになることはありませんが、胸にしこりができた場合、乳がんか脂肪注入によるものなのかを判断するにはMRIなど精密検査が必要になります。
脂肪注入は、熟練した医師のもと、きちんとした手技を用いて行えば非常に優れた方法です。しかし、そうでない場合にはひどい合併症を生じて、苦しむ危険性がある方法だということを覚えておきましょう。
施術の流れ
①カウンセリング
医師と、希望のバストサイズや形状についてカウンセリングを行い、現状のチェック(診察、乳腺の状態をレントゲンでチェック)を行います。
どの範囲からどのくらい脂肪を吸引するか、バストのどの部分にどのくらい注入するかデザインもしていきます。
②問診・血液検査
手術を受けることができるかどうか、当日の体調に問題がないかどうかなど診察します。
③施術
1)麻酔
状況によって静脈麻酔、硬膜外麻酔、全身麻酔などを組み合わせ、適切な麻酔法を施します。
2)脂肪吸引
太ももや腹部(カウンセリングで決めた部位)から脂肪吸引を行います。皮膚を5mm程度切開し、カニューレを差し込み、固めのゼリーをストローで吸いだすようにして吸引します。脂肪組織は周りと結びついているので、決して簡単な手技ではありません。
3)脂肪の処理
吸引した脂肪から不純物を取り除きます。様々な方法がありますが、一般的には遠心分離器を使用して脂肪を分離・精製し、純度の高い脂肪を抽出します。
4)脂肪注入
取り出した脂肪を、専用の細い注射針を用いてバストに注入します。
少量ずつ注入していくので非常に手間のかかる作業ですが、ここで手間を惜しまないことが非常に重要です。注入部位には針穴だけで、切開は必要ありません。
④アフターケア
脂肪が生着するまでは安静が必要です。
組織の腫れを抑えて、生着するまでの環境を整えるために、軽く冷やすことをお勧めする場所もあります。また、状態によって、内服薬・湿布薬・座薬など痛み止めの処方をされることもあります。
入院の必要はなく、麻酔が覚めたら帰宅できます。
脂肪吸引する部位にもよりますが、麻酔をかけてから施術の終了まで約3時間で終了します。翌日からシャワーは可能ですが、入浴は抜糸までの一週間はできません。
まとめ
自分自身の体から余分な脂肪を吸引し、その脂肪を豊胸に使うことができるのは、一度に二度おいしく嬉しい方法です。人工物を使用せず、傷口も小さいので、他の豊胸術と比べても安全性が高いことも魅力です。
注入した脂肪は、個人差はありますが約60〜70%程度が生着します。生着した脂肪は時間と共に吸収されることはありません。
しかしこれらは全てうまくいった時のケースであり、体内で組織を移動させている以上リスクは付き物です。合併症が引き起こされた場合、折角注入で傷口を最小限に抑えられたとしても、治療で切開して大きな傷と変形だけを残す結果になりかねません。
安易に脂肪注入を受けることはおすすめしません。事前によく担当医と話をし、信頼できる医師のもと、的確な施術を受けて理想の美しいバストを手に入れましょう。
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