自力で消せない”妊娠線・肉割れ”を改善しよう!

自力で消せない”妊娠線・肉割れ”を改善しよう!

妊娠線や肉割れが気になって露出ができず、温泉や海に行けなかったり、ファッションの幅が狭まったりしてお困りの方は多いです。健康に害はないものの、立派な皮膚の病気のひとつであり、一度できてしまうと多くの場合は自然に消えることはありません。
そんな諦めていた妊娠線と肉割れは、医療の力を借りて、治療ができるのです。

妊娠線・肉割れとは?

妊娠線

皮膚は、何層にも分かれていてます。大まかに分けると、外側から表皮・真皮・皮下組織となっていて、真皮と皮下組織(皮下脂肪)は、弾力があまりありません。真皮とは主にコラーゲンとエラスチンより構成される部位で、角質、表皮の下に位置する部分です。

妊娠線(にんしんせん)とは、妊娠中にお腹が大きくなるスピードに対して皮膚の伸びが追いついていけず、皮下の真皮から皮下組織にかけて断裂してしまい、皮膚表面にみみず腫れ状に赤紫色の縦線ができたり、皮膚が線上にデコボコしてしまう症状のことを言います。別名「ストレッチマーク」とも呼ばれています。

できたばかりのときには赤い線ですが、時間がたつと白っぽい筋になります。腹部だけでなく、乳房や臀部、脚などの皮膚にもできることもあり、白い筋となって残ります。
妊娠線には個人差があり、出来やすい人、出来にくい人がいます。出来やすい人は「急激に体重が増加してしまう方」「乾燥肌の方」「経産婦さん」と言われています。妊婦さんの8割~9割の人にこの妊娠線が出来やすく、特に妊娠9ヵ月頃の出産直前は非常に妊娠線ができやすい時期です。

健康面では大きな障害はありませんが、美容的な側面で心理的ストレスを生じさせることがあります。
また、ターンオーバーと言って、肌は生まれ変わりを繰り返しています。ターンオーバーによって、古い組織と入れ替わりながら新しい組織に変わっていくので、薄い妊娠線であれば、徐々になくなる人もいます。しかし、真皮はターンオーバーが遅く、さらに断絶した真皮と皮下組織を元の状態にする方法はないので、多くの場合は一度できてしまうと自然に消えることはありません。
抜本的な改善には医療的アプローチが必要なのです。

妊娠線には、新旧の2種類があります。
“新妊娠線”とは、妊娠末期に腹壁、乳房周囲の皮膚に青赤色の紡錐形や不安定の線を生じます。これは腹部や乳房が急速に増大するため、皮膚が過剰に伸展するため、皮下の結合組織が断裂し毛細血管の色が透見される状態です。
“旧妊娠線”は、新妊娠線が分娩後に瘢痕化し、銀白色な線となって残ったものをいいます。

肉割れ

妊婦でなくても、急激に体重が増減した場合、男女を問わず妊娠線と同様の所見が出現する事があり、これを一般的に“肉割れ”と呼んでいます。ヒップや太もも、お腹のライン、二の腕、膝の裏などの柔軟性のない皮膚に症状が現れやすいです。

急激な体重の増減以外にも、身長の増減や過度なトレーニングで偏った負担をかけ続けると、筋肉が対処しようと急速に発達することに皮膚がついていけず、表皮の所々が薄くなり、皮膚の表面にしま模様の亀裂が表れます。
妊娠線同様、ほとんどの場合は自然には消えることがなく、跡が残ってしまいます。

治療法

日本ではあまり治療法が紹介されておらず、市販のクリームやエステサロンなど、安全性、有効性が確立していないものに頼っているの現状です。

◎専用クリームとは?
妊娠線・肉割れを薄くする効果のあるクリームは、妊娠線予防クリームやストレッチマーククリームとしてドラッグストアなどで販売されています。症状に悩む多くの人が使用していて、自宅で手軽にケアをすることができます。

症状を未然に予防するためにこまめなケアを行うのはもちろんのこと、すでにできてしまった肉割れも、クリームを用いれば完全に消すことはできなくても目立たなくすることが可能です。妊娠線はケアを早めにスタートすれば、予防することができたり、症状を軽くすることができます。

妊娠線・肉割れは、乾燥肌の人ほど皮膚の伸縮性が低下するため、できやすく目立ちやすくなるのが特徴です。クリームは、保湿効果や浸透力に優れ、皮膚の再生を促すようなビタミンなどの美容成分が含まれたものを選ぶようにしましょう。
また、クリームは毎日使うものなので、できるだけ低刺激のものを選ぶことも大切です。肌に合わないクリームの使用を続けると、皮膚が荒れて乾燥を引き起こし、かえって肉割れができやすくなったり、目立ってしまうこともありますので注意しましょう。
毎日使うものなので、楽しく使えるよう好みのテクスチャーや香り、コスト面でも無理のないものを選ぶことをおすすめします。



以上のように、気軽に自分で妊娠線を予防や改善は可能ではありますが、市販のクリームは角質、せいぜい表皮までにしか作用することはできず、妊娠線・肉割れの原因である真皮層にまで効果を及ぼすことは困難です。これは市販のクリームが良くないわけではなく、法律の壁があるため、仕方ないことなのです。
その他にも妊娠線・肉離れに効くとされているマッサージやダイエットも同様に、真皮に直接働きかけるものではないので、効果には医学的な根拠はありません。
しかし、米国などの先進国では、妊娠線の治療は一般的で、大学病院レベルでも普通にそれらの治療が行われています。

皮膚科や美容外科クリニックなどで行われているレーザー治療は短期間で肉割れをきれいに目立たなくすることができます。レーザーは真皮に直接働きかけることで、コラーゲンの再生を促す効果があります。しかし、その効果は個人差が大きく、費用も高額になりがちです。

医療機関で行われている妊娠線・肉割れの治療にはいくつか方法があるので、それぞれご紹介していきます。

炭酸ガス治療

点滴の針よりもさらに細い極細の針で炭酸ガスを注入することで、真皮の血流を改善して皮膚の代謝を向上させます。また、炭酸ガスの注入により皮膚に一時的なダメージを与えることで皮膚の再生能力が活性化し、コラーゲンの産生が促進され、肌の弾力が高まり、妊娠線・肉割れを薄める効果があります。施術後のダウンタイムも短い治療法です。
その場で目で見て、お肌の血流改善の効果を実感できます。10年、20年以上の妊娠線や肉割れにも対応が可能です。

サーマクール

レーザー光線の何倍もの強さをもつラジオ波(高周波)の熱エネルギーをお肌に当てて、熱が真皮を収縮させ、その後自己コラーゲンを産生させることにより、傷跡の凹み改善や皮膚の中の塊を柔らかくする治療機器です。
皮膚の引き締め効果があり、お肌がすべすべになります。急激な体重の変化で皮下組織が裂けてひび割れができてしまった方、または治療が難しいといわれてきた妊娠線も薄くして引き締めることが可能です。
妊娠線・肉割れ以外に、お腹、二の腕、太もも、ヒップラインのたるみやセルライトにも効果的です。
副作用がなく、傷がつくこともないのでメスを使用した施術に比べてダウンタイムがありません。

マッサージピール

マッサージピールとは「トリクロロ酢酸(TCA)」と「過酸化水素(H2O2)」を配合した薬剤「PRX-T33」をマッサージによりお肌に浸透させる治療法です。別名「コラーゲンピール」「TCAピーリング」「ミラノピール」等とも呼ばれます。
妊娠線にPRX-T33という製剤を塗り込みながらマッサージをし、皮膚のターンオーバーを促します。PRX-T33にはトリクロロ酢酸(TCA)という成分が含まれています。トリクロロ酢酸(TCA)は、真皮を刺激し角化細胞や繊維芽細胞の増殖因子を活性化させます。
効果には個人差がありますが、妊娠線を目立たなくしていく治療法です。

フラクショナルレーザー

フラクショナルレーザーは皮膚の再生能力に働きかけ、肌を新しい皮膚に入れ替えていく最新、かつ画期的なレーザーです。「フラクセルレーザー」とも呼ばれています。
レーザーで真皮に点状にエネルギーを照射することで熱変性を起こさせ、熱変性した真皮は、その周囲の線維芽細胞が活性化し、皮膚のコラーゲンとエラスチンの生産を活性化させます。これにより、肌の再生を促し、新しい皮膚に入れ替えます。
肌をなめらかにすることは、妊娠線・肉割れの改善に繋がります。小さなドット状に分割して照射することで、皮膚へのダメージを極力抑えながら、肌の入れ替えと再生を促進させ、『新しい肌にリニューアルする』照射治療です。
1回の照射で施術部位の10~15%が新しい肌へ入れ替わり、6~10回の治療を繰り返すことで、肌全体が新しい皮膚へ再構築されます。
フラクショナルレーザーは米国では一般的に妊娠線の治療に使用されています。

ダーマペン

ダーマペンとはペン型をしている医療機器で、米国FDA(米国食品医薬品局。日本の厚生労働省にあたる公的機関)に効果と安全性が認可されています。
先端に9本の極細針が付いていて、表皮から真皮に微細な穴を開けることにより、肌内部から様々な成長因子(グロースファクター)が分泌されます。成長因子は線維芽細胞を刺激し、細胞の成長や傷の回復を早める働きがあり、コラーゲン・エラスチン・ヒアルロン酸を増やし、肌を再生させるために重要な役割を担っています。
ダーマペンは、この人体の生理的反応により放出される成長因子の働きを利用して、肌内部から若返るサイクルをつくり、お肌のハリ・弾力を高め、滑らかな肌へと導きます。繰り返し施術を受けて、コラーゲン密度を高めることで妊娠線、成長線を目立ちにくくします。

リアクト(リジェネラ)

リジェネラは、自家真皮組織による組織再生医療であり、しわ・リジュヴィネーション・瘢痕・妊娠線・潰瘍・熱傷の治療に用います。厚労省、FDA、CE認可を受けており、NATO軍にも配備されています。
機械により細断された皮膚組織に生理食塩水を加え、治療部位に注入します。自己真皮組織の再生により症状の改善を促します。
施術部位に自身の健康な組織と成長因子を与えることで、不足している細胞を補い修復を促すことにより、皮膚の回復力を高め、より早く機能が低下した肌の細胞の補修をする事が可能です。
妊娠線以外にも、シワやハリ、ニキビ跡を改善し、お肌のレジュビネーション(若返り)につながる治療や、火傷の跡、傷痕治療、薄毛治療にも使われる技術です。
1か月以上間隔をあけて必要に応じて繰り返し施術を行います。

PRP皮膚再生療法

PRP皮膚再生療法は、自分自身の血液を採取し、血液の中にある血小板の成長因子を妊娠線に注入する事で、妊娠線のある肌を活性化させる再生医療です。
自身の血液から採取した血小板の成長因子を妊娠線に注入すると、肌の細胞が活性化され、皮膚にハリが生まれ、妊娠線が目立たなくなっていきます。
人間の体の中には成長因子があり、少なくなった細胞を増やしたり、元気づけたりしています。注入から約1~2ヶ月をかけて、肌内部からゆっくりと再生されていくため、見た目の違和感がなく自然な仕上がりが期待できます。自分の血液から抽出した成分を用いるため、アレルギーの心配もありません。

ヤグレーザーピーリング

長い波長を持ち合わせすため、皮膚深部までレーザーが届き、コラーゲンの増殖を促すため、妊娠線や肉割れにも効果を発揮します。真皮に充分な熱量を与えながらも周りの正常な皮膚にはダメージを与えず、治療部位だけを集中して確実に治療していくことが可能です。照射中の痛みがほとんどないのも特徴です。
また、1,064nmという波長は赤血球中のヘモグロビンに一番吸収される性質を持つので、その作用は血管全体を包み、血流を弱めて凝固させるため、皮膚線状の赤味を引かせることも可能です。
真皮上層部に働きかけることでコラーゲンが増生され、肌のキメ・ハリ を整え、小じわ等の改善も期待できます。

まとめ

妊娠線・肉割れは、皮膚の過伸展に伴う皮膚の被薄化、皮下結合組織の断裂による組織の欠損と胴部の瘢痕化等の複数の要因によって生じるため、従来は治療が困難とされていました。
専用のクリームの販売やマッサージ方法、ダイエット等様々な改善方法が紹介されていますが、根本的な要因となっている真皮の修復には繋がらないので、思うような効果が感じられないことが多いです。
しかし、レーザーなど医療の力によって妊娠線・肉割れの治療が可能になりました。

妊娠中に限界まで伸びた皮膚は、出産後1~2年かけて徐々に回復しますが、完全に元には戻りません。特に、複数回の妊娠、高齢出産、痩せ型の女性が妊娠した場合、皮膚のたるみや、妊娠線が目立つことがあります。妊娠線は難治で、白くなると目立ちにくくなりますが、加齢と共にたるみが進むと、再び目立ってくることがあります。

妊娠されたら、医師の指示に従ってケアをしてみましょう。そうすることで妊娠線が出にくくなります。しかしその効果は絶対的なものではないので、ケアをしても妊娠線が現れてしまった場合は治療をおすすめします。
妊娠線・肉割れは放っておいても健康面に被害はありませんが、気になる方は検討してみてはいかがでしょうか?

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