ワキが臭っている気がする…ワキガの自己診断と対処方法

ワキが臭っている気がする…ワキガの自己診断と対処方法

日差しが強く、薄着になる季節がやってきました。今年は去年に引き続きコロナ禍という事もあり、お休みの日は屋内ではなく屋外レジャーを考えている方や、テラスなどの屋外で食事を計画している方も多いかと思います。まだ夏本番前の今の時期からプライベートで汗をかく機会がぐっと増え、その分気になるのがワキの汗のキツいにおい。あれ…?もしかして?と思う事があったり、シャツの汗染みがひどいと、自分に自覚がなくてもワキガかもと心配になりますよね。特に匂いは自分よりも周りの方にどう思われているか、という部分にも関わります。デリケートな話題なので、他の人から匂いを指摘されない事が多く、また当人も自覚がありながらも他人に相談しづらいやっかいな症状です。今回は自分でチェックする方法と、匂いの対処方法をお伝えします。せっかく屋外レジャーが楽しい季節になりましたので、不安を解消して思いっきりレジャーを楽しめるようにしましょう。

実は女性も発症しやすい

ワキガは日本人の10人に1人の割合で発症すると言われています。ワキガというと男性の病気というイメージを持つ方もいますが、ワキガは遺伝的に決まることもあるため、実は女性患者も多いです。「ワキガ」の臭いは、硫黄のニオイ・つーんとすっぱい臭い・スパイスのような臭い・古い雑巾のような臭い、など様々な表現されます。女性のワキガは思春期ごろから気になることが多いのですが、乱れた生活習慣や食生活により大人になってから症状が出る人もいます。また、女性の場合は、月経や妊娠、出産の際に、一時的にワキガのニオイが強くなることがあります。こうした女性ならではの体の変化は、女性ホルモンの作用で起こります。

ワキガの原因は?

そもそも何故ワキから独特なニオイがしてしまうのでしょうか。まず、ワキガとは、一般的にワキから不快なニオイが発せられる状態のことを言います。病院では腋臭症(えきしゅうしょう)という名前を使います。ワキを特に上げていないにも関わらず、強烈なニオイが放たれるのが症状の特徴です。ワキガの主な原因は、「アポクリン腺」から出る汗にあります。アポクリン腺から分泌される汗に含まれるたんぱく質や糖質などが皮膚の常在菌により分解されることで、ツーンとした強烈な臭いが発生し、夏場の暑い時期には特に症状が目立ちます。アポクリン腺の数は生まれつき決まっており、多い人、少ない人、まったくない人と個人差があります。両親からの遺伝と言われるのはこのためです。また、アポクリン腺はワキだけではなく外耳道(耳の穴)、乳輪、陰部にも存在するので、ワキ以外からもニオイを出している可能性があります。

思春期から発症し、更年期以降におちつく

ワキガは思春期頃から発症します。これは、ホルモンの働きが活発になり、ワキガの原因であるアポクリン汗腺が発達するからです。女性は16歳ごろにワキガを発症することが多いのですが、以前よりも早く体が成熟する人が増えているため、もっと若いうちから発症するケースも増えています。女性ホルモンの分泌量が減る更年期以降は、ワキガのニオイが気にならなくなってくるケースが多くみられます。

思春期に発症しなくてもストレスなどで突然発症することも

アポクリン汗腺の数は大人になってから増えることはありません。しかし、ストレスや生活習慣の変化で体臭が変わり、急にワキガを感じ始めるケースもあります。生活習慣の乱れによってストレスがかかりやすくなると、アポクリン汗腺が刺激され、汗が分泌されやすくなるのです。緊張すると手汗をかいたりしますよね?まさにその状態が続くのです。運動不足もワキガに影響します。運動不足になると汗をかきにくくなり、老廃物が体に溜まった状態になります。すると、汗をかいた際に溜まった老廃物が一気に外に出てくるため、強いニオイとなります。

不安になったらまず自己診断を

ワキガ・腋臭症というと「おじさん臭い」という人もいるため、男性がかかるイメージが多いですが、決してそんなことはなく、実は女性でもワキガで悩む人は多く、また本人が気づいていないケースも多いです。もちろん病院でも診断ができますが、病院にも行きづらいという人もいます。一方で「体臭」というデリケートな話題のため、周りも指摘しづらく、女性の場合は本人に自覚が無くても周囲の人が気になっているという場合もあります。ワキガは子供の頃には発症しません。ホルモンの影響を受ける症状なので、中学生頃から症状が始まります。症状も軽い方もいれば重症の方もいます。少しでも不安要素があれば、まず自己診断をしてみましょう。自己診断はある程度有効な手段です。

セルフチェックの方法

  1. 両親もしくは片方の親がワキガ体質だ
  2. 耳垢が湿っており、キャラメルのような色をしている
  3. ワキから出る汗の量が多いと感じる
  4. ワキ毛に白いものがついていることがある
  5. 洋服を着るとワキの部分が黄ばみやすい
  6. ワキ毛が濃い

上記のチェック項目のうちひとつでも当てはまるとワキガの可能性があり、数が多いほど確率も高くなります。また、両親もしくは片親がワキガ体質の場合はワキガの可能性がとても高いと言われています。もし、他人に聞きづらい・病院に行きづらいという場合も、まずはご両親どちらかに相談してみるというのも手段の一つです。

ワキガの治療法は?

ワキガに気がついたらまず病院を受診しましょう。ワキガは形成外科か皮膚科での治療となります。近年では美容皮膚科でも治療ができます。ただし、対応していない病院もあるので、病院でワキガの対応をしてくれるかどうかを事前に確認してから受診しましょう。病院では生活環境などをヒアリングし、場合によってはワキにガーゼを挟む検査でワキガの重症度をはかり、適切なワキガ治療をアドバイスします。治療は塗り薬によるものと外科的治療(手術)があります。重症の場合が外科的治療と考えましょう。

ワキガの重症度

ワキガと一言にいっても症状の程度は人によってことなります。治療の際にはどの症状レベルかを知る必要があります。

軽度のワキガ:鼻をワキに近づけて気づくにおい

近づかなければほとんどニオイに気づかない状態で、自覚している人も少ないです。他人に不快感を与えることは少なく、気がついているのは自分だけということも。軽度の場合は、市販品の制汗剤などで対策できますが、気になる方は早めにクリニックで治療しましょう。それでもニオイが気になる…という場合は「自臭症」という、周りから臭いと思われていると思い込んでしまう、別の病気である可能性があります。

中度のワキガ:近い距離や狭い部屋で気づく

電車内やエレベーターなどの密閉空間や、他人との距離が近いとワキガのニオイをほのかに感じる場合です。複数人で近くに立っている場合、他人はワキガのニオイに気付く人はいるものの、誰がワキガなのかは明確には分からない、という程度です。ただし、夏の暑い季節や激しい運動の後などは他人が不快に感じる場合があるので気を付けましょう。このレベルの場合は人によっては不快に感じることがあるため、必要に応じてワキガ治療を検討し病院を受診するのがおすすめです。

重度のワキガ:部屋に入るとみんなが気づく

部屋にいる誰もが気づくほどの強いニオイを発します。汗をかきづらい冬の季節でもニオイがきつい、もしくは上着を着ていたり、特に人が密集したりしていなくても強いニオイを感じるのであれば重度のワキガといえます。部屋にニオイが充満するので、不快だと感じる人も多く、とくに密閉された空間であればかなりの人がニオイを感じるでしょう。重度の場合は市販品などでの治療では効果が薄く、病院で手術の選択肢を提示される事があります。

日本人の場合は実は重症の人は少ない

日本人の場合、重症に当てはまる人は意外と少ないです。日本は魚や野菜中心で脂質の少ない食生活が続いてきたこともあり、アポクリン腺の活動を刺激する脂質をあまり摂らない事も一因と言えます。逆に海外ではワキガ体質の方がとても多く、アフリカ系人種でほぼ10割、ヨーロッパ系人種では7~8割とされています。しかし、海外の場合、腋臭や体臭は生理学的現象の1つとされ、不快に思う人も少なく、治療する人はほとんどいません。日本人はニオイに対しての感度が高い傾向にあり、またもともとワキガ人口が諸外国より少ないため少数派にあたるので患者本人がとても気にします。ワキガかもと思ってもあまり深刻に捉え過ぎずに治療するようにしましょう。

ワキガの対処方法

軽度のものなら、以下の対処法を実践するだけで、かなりニオイを抑えることもできます。

ワキを清潔に保つ

ワキガの臭いは、“汗”と“臭い菌の繁殖”が大きく関わっています。お風呂やシャワーで汗を洗い流し、わきを清潔に保つようにしましょう。わきの下の雑菌の繁殖を抑えることで、ワキガ臭を軽減できます。汗をかいたのに職場や学校にいるのでシャワーが出来ない時は脇汗をこまめに拭いてニオイの原因を減らしましょう。

脇毛を処理する

腋に毛が生えていると、脇毛に汗がまとわりつき、細菌の繁殖が活発になります。ニオイが気になるなら処理をするのがおすすめです。自己処理の場合、アポクリン腺が刺激されて、ニオイの原因になる汗が出やすくなります。脇毛の処理は医療脱毛やエステ脱毛がおすすめです。特に医療脱毛のレーザーの場合、アポクリン腺の機能が弱まりやすいといわれています。

制汗剤や殺菌剤を使用する

汗の分泌量を抑えられる制汗剤や制汗スプレーを使って、ワキガの原因となる汗を減らしましょう。もしくは細菌の繁殖を抑える殺菌剤を、腋の皮膚に塗布するのも効果的です。それぞれ軟膏やスプレー、ローション、パウダーなどがあります。クリームタイプは水に強く、汗をかいても落ちづらいメリットがあります。持ち歩くには小ぶりなミストタイプやスプレータイプがおすすめです。

自分が軽度か中度かわからないという方もいますよね。上記を試してもニオイが気になるという場合は病院を受診して治療方法を聞いてみましょう。

ワキガの予防方法

ワキガは遺伝的な要因もあるので、予防でニオイを完全に消す事は難しいですが、ある程度抑制することはできます。ここでのポイントはアポクリン汗腺の活動を抑える予防をするという点です。

食生活の改善

肉類、動物性の油や高脂肪の食品、高カロリーなものはアポクリン汗腺の活動を促進します。牛乳やバターなど、乳脂肪分が豊富に含まれるものも該当します。アポクリン汗腺からの汗の分泌量が増えれば、その分ニオイも発しやすくなるので注意が必要です。タンパク質をとる場合は大豆製品や魚を中心にした食生活にしましょう。

飲酒・喫煙を控える

アルコールやニコチンを摂取すると汗が出やすくなり、アポクリン汗腺の働きが活発になります。また、アルコールやニコチン自体が強いニオイ成分でもあるので、ワキガ体質でなくとも、体臭がきつくなる原因になります。

適度に運動する

適度な運動をこまめにすることで体の中の老廃物が汗と一緒に体外へ排出されます。老廃物がニオイの原因にもなるので、この量が減ると、ニオイを軽減できます。高強度の運動でたくさんの汗をかく必要はありません。ジョギングやウォーキングでほんのり汗をかく程度が理想です。適度な運動はストレス発散にもつながるのでおすすめです。ただし、運動して発汗すると、どうしても一時的にワキガ臭が強くなることがあります。運動後はシャワーで汗を流したり、こまめに汗を拭き取って汗を減らす事を心がけてください。

ストレスをためない

ストレスがたまると交感神経が優位な状態が続き汗をかきやすくなります。暑くもないのに汗をかいたりワキガの方にはやっかいな体質になります。体温を調整するための汗ではなく、精神性の発汗についてはワキガ独特のニオイを発します。普段の生活を見直して、寝不足の場合は睡眠時間を多くしたり、仕事がハイプレッシャーな場合は少し量を調整するなどストレスをためない生活をこころがけましょう。

まとめ

近年は日本人も食生活が欧米化しているので、ワキガの人が増えているとも言われています。また、発症の年齢が低くなっているとも言われています。それでもまだまだ日本社会は「ニオイ」がデリケートな問題になりがちです。一方で「スメハラ」という言葉が登場するほど、周囲の人がニオイを気にする話題でもあるので、やはりこまめに予防や対処を行う事が大切です。自分ではニオイの程度がわからなかったり、改善しているのか悪化しているのかわからない、というような場合は是非病院で相談してみましょう。客観的なアドバイスを貰えるので早期改善につながります。もし自分がワキガの場合、お子さんが思春期近くになった場合は気にしてあげる事も大切です。自分では気づきにくく、またデリケートな問題で自分で気づいていても相談しづらい場合が多いです。子供からするとやはり親が一番話しやすい相手なので、親が指摘して挙げるのも大切です。近年は子供のワキガ治療に対応する病院も増えているので安心してください。

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